note 記事パターン検証

Leila Hormozi「Principles for Making Money」と Paula Pant「The most powerful way to think about money」を素材に、同じ内容を書き方だけ変えて書き分けたもの。画像は入れていない。文章だけで判断してほしい。上のタブで切り替え。数字は実測値で、オレンジは要注意(章数4未満、文長のばらつき18未満)。

まず読むところ

同じ素材(Leila Hormozi と Paula Pant の動画2本)から、書き方だけを変えて9本書きました。上のタブで切り替わります。画像は入れていません。文章だけで判断してください。

最初に見るなら:まず「対照群」を1分だけ読んでください。これがAIが素直に書いた文章です。そのあと ① と ⑧ を読むと、差が一番はっきりします。

全9本が最低3,000字・最低4章を満たしています。各タブの冒頭に「何を検証しているか」と実測値を出しています。

9本の一覧と、私の評価

パターンやったこと私の評価
対照群意図的に平均的に書いた。ですます統一、均等な段落、「〜ではないでしょうか」比較の基準。これ単体では使わない
① 文体を崩す1文段落を混ぜ、文末と文長を振る採用推奨。他の全パターンの土台になる
② 判断を明示節ごとに使える/使えないを宣言してから理由強い。ただし全記事でやると型が読める
③ 具体で埋める時間の家計簿を30分単位で書き出した実例採用推奨。数字があると読者が動く
④ 敵を明示AI全自動・引き寄せ・MLMを名指しで否定読者が集まる型。多用すると角が立つ
⑤ 構成を崩す脱線し、回収せず、素材に反論し、未完で終える最も人間らしい。ただし読者を選ぶ
⑥ 長文で押す章5つ、1論点だけを地の文で深掘り(4,109字)note と相性が良い。有料記事向き
⑦ 読者に呼びかける二人称。読者の現在地を先に肯定してから本題刺さる層が明確。集客の入口向き
⑧ 一件を時系列で追う金曜19時の電話から3か月後まで採用推奨。最後まで読まれる形

私の見立てでは、単独で1つ選ぶより、①を土台に③⑧の要素を混ぜるのが強いです。②④⑤⑦は記事のテーマによって出し入れする形が良いと思います。

検証で分かったこと

1. 機械的な指標で人間らしさは測れない

3つ試して3つとも駄目でした。

  • 文長の標準偏差 … 逆相関。対照群が16.8で合格圏、最も人間らしい①が10.1で不合格になる。AIは「長い複文+短い要約文」を交互に置くので分散が大きく出る
  • 段落長のばらつき … 部分的にしか効かない。③が対照群を下回った
  • 1文だけの段落の出現率 … 無相関。対照群16%に対し人間らしいパターンも16〜19%
設計書 Phase 4 の「48時間置いてから、タイトルを隠して自分でAI/人間を判定する」——あれが唯一まともな判定方法でした。数値は「明らかに壊れているものを弾く」用途に限定すべきです。

2. NCD(圧縮距離)は日本語でも機能する(前言の訂正)

設計書を読んだ時点で「日本語のgzipは判別力が落ちる恐れがある」と指摘しましたが、実測すると逆でした。node bin/nf-ncd.mjs で36ペアを測定した結果、閾値0.75を下回った6ペアは目視で重複を見つけたペアと完全に一致しました。

  • p3 × p8 = 0.543 … 同じ例(口座を分ける/案件A・B)を両方が使っていた
  • p4 × p7 = 0.641 … 「うまくいった人に例外的に賢い人はいない」の一文が完全一致していた

p3を別の具体例に書き直したら、0.543のペアは上位から消えました。NCDは人間の目と同じ判断をしています。

3. lint.mjs の設計方針

検査判定
書き出しの一致残す
禁止語・定型句残す
文長のばらつき捨てる
NCD 0.75残す

人間らしさは測れないが、使い回しは測れる。この区別が今回いちばん大きい収穫です。lint.mjs は検査を増やす方向ではなく、減らす方向で設計してください。

4. 章数と文字数はトレードオフしない

⑥は章5つで4,109字と最長になりました。章を増やせば長くなるわけではありません。「最低4章」は下限として妥当ですが、章を増やす方向のインセンティブは付けない方がいいです。章を増やすと1章あたりが浅くなり、対照群のような箇条書き的な記事に近づきます。

確認したいこと

著者の実績数字(年商・利益・過去の規模)は一切書いていません。「匿名で実績非公開」を優先しました。書いていい範囲はありますか。

③⑧に出てくる数字(月額3万/38万、週11時間など)は例示として作ったものです。実在の案件に置き換えるべきですか、例示のままでよいですか。

9本のうち採用する型を決めますか。それとも①を土台に要素を混ぜる形にしますか。

「客に会え」という結論が複数の記事に出てきます。著者の思想として一貫させるべきか、記事ごとに変えるべきか。

次にやること

  • note アカウント作成(村田さん)→ npm run login で下書き投入まで通す
  • note-writer(文章生成システム)の実装。設計書 v1.0 の文字数・見出し数の規定は破棄済み
  • lint.mjs は上記の方針で実装(NCDは bin/nf-ncd.mjs に実装済み、移植するだけ)
検証したい仮説
これが「AIが素直に書いた記事」。比較の基準として置く
意図的に平均的に書いた。ですます統一、均等な段落、「〜ではないでしょうか」での留保、最後に箇条書きのまとめ。他のパターンはこれとの差分で判断してほしい。
文字数3,117章数12段落45一文平均36字文長のばらつき16.8最長/最短123/8段落ばらつき271文だけの段落16%ですます78だ・である6体言止め0疑問3
お金を稼ぐための原則について、海外の動画から学んだこと

お金を稼ぎたい。多くの方がそう考えていらっしゃると思います。しかし、実際にどうすればよいのかは分かりにくいものです。今回は海外の解説動画を参考に、お金と事業についての原則を整理してみました。


賢さは必要条件ではない


まず押さえておきたいのが、お金を稼ぐために特別な知性は必要ないという点です。ある起業家は、自分よりも明らかに能力が高いとは思えない人物が月4,000万円規模を稼いでいる場面に遭遇し、考え方が変わったと語っています。


重要なのはゲームのルールを理解することです。必要なのは、努力を続けること、忍耐を持つこと、そして常識的な判断ができることの3つだとされています。


むしろ知性が高すぎる人はリスクばかりが見えてしまい、機会を逃してしまう傾向があるという指摘もありました。これは興味深い視点ではないでしょうか。


貯金の役割を正しく理解する


次に、貯金についてです。貯金それ自体がお金を生むわけではありません。しかし、貯金には別の役割があります。それは、リスクを取るための安全性を確保することです。


実際にこの起業家は、事業で得た資金でまず借金を返済し、次に生活費をまかなえる資金を確保しました。それによって、その後に入ってくるお金をすべて事業投資に回せるようになったといいます。


つまり、貯金は「支出を抑えるため」ではなく「リスクを取れる状態を作るため」のものだと整理できます。


成果は一気に現れる


3つ目の原則は、成果の現れ方についてです。多くの場合、長期間まったく成果が出ない時期が続き、その後に一気に結果が出ます。


この起業家も、最初の2年間は利益が出ないどころか損失を出していたそうです。しかしその後、半年で7億円規模、2年半で27億円規模へと成長しました。


外部から見ると幸運に見えますが、実際にはその期間にスキルが蓄積されていたということになります。スキルは複利で効いてくるため、続けることが重要だと言えるでしょう。


第一原理から考える


もう1本の動画では、お金の考え方について別の角度から解説されていました。


それは、木にたとえた考え方です。根が価値観、幹が人生哲学、枝が戦略、葉が戦術や商品にあたります。多くの人は葉、つまり「どのアプリを使うべきか」「何に投資すべきか」から考え始めてしまいます。しかし本来は根から考えるべきだ、という指摘です。


また「あなたは何でも買えるが、すべては買えない」という言葉も紹介されていました。これはお金だけでなく、時間や集中力にも当てはまる考え方です。


他人の収入を気にしない


4つ目に紹介されていたのは、他人の収入を気にすることの弊害についてです。


ジムで他人のトレーニング回数を数えても自分の筋肉はつきません。同じように、他人の収入を数えても自分の収入は増えないという指摘です。


この起業家自身も、ある買収案件で相手の取り分が大きいことを指摘され、条件を変更した結果、交渉が決裂した経験があるそうです。その企業はその後大きく成長したとのことで、判断を誤ったと振り返っています。


自分にとって条件が合っているのであれば、相手の取り分は本来関係ないはずです。しかし、多くの人はここで感情的になってしまいます。本当に成功している人ほど、他人が儲かることを歓迎する傾向があるのかもしれません。


行動を変えることの重要性


5つ目は、信念と行動の関係についてです。


この起業家は、以前は「豊かさを信じれば豊かになれる」といった考え方の本を実践していたそうです。金持ちのように振る舞えばお金が来ると考え、寄付をしたり、食料品を人に譲ったりしていました。しかし状況は変わりませんでした。


そこで当時のパートナーから「お金は、それを作るために働く人を差別しない」と言われ、考え方が変わったとのことです。


信念を変えてから行動するのではなく、行動を変えれば信念は後からついてくる。この順序は覚えておいて損はないと思います。


恥を捨てて働くこと


6つ目は、労働に対する姿勢についてです。


お金がない状態であれば、どんな仕事も自分より下だと考えるべきではないという主張でした。実際にこの起業家も、ハイキングのガイドという仕事を経験しています。


その経験があったからこそ、次の機会につながったとも語られていました。機会に対して恥ずかしさを感じてしまう人は、それだけ機会を減らしているという見方もできそうです。


解く問題の難しさが報酬を決める


最後の原則は、報酬の大きさについてです。稼げる金額は、解決する問題の難しさに比例します。


例えばパーソナルトレーナーとして個人を指導する場合と、ジムの経営者に集客方法を教える場合、さらに経営者に売却可能な企業の作り方を教える場合とでは、報酬の桁が変わってきます。


これは自分の立ち位置を考える上で重要な視点だと思います。今どのレベルの問題を解いているのか、次にどのレベルへ移るのかを意識することが大切なのではないでしょうか。


能動的な収入が先である


7つ目は、収入の種類についての順序です。


「寝ている間にお金が入る仕組みを作りたい」と考える方は多いと思います。しかし、この起業家はまず能動的に稼ぐスキルを身につけるべきだと述べています。


実際に彼女は不動産投資を勧められて物件を購入しましたが、入居者の管理や管理会社との関係など想定外の業務が発生し、1年かけて手放すことになったそうです。損失は200万円ほどだったとのことです。


投資にも投資のスキルが必要であり、それは事業で稼ぐスキルとは別物です。ただし、事業のスキルは投資に応用しやすい一方、逆は難しいとされています。したがって、順序としては能動的な収入を先に確立するのが合理的だと言えるでしょう。


目的としてのお金と手段としてのお金


8つ目は、お金の位置づけについてです。


この起業家は最初の会社を売却した際、大きな金額が入金された瞬間に何も感じなかったと語っています。感じたのは安堵だけだったそうです。


そこで気づいたのが、お金は目的ではなく手段であるということでした。お金そのものが幸福をもたらすわけではなく、それを使って何を作るかが重要だという考え方です。


もっとも、これは十分に稼いだ方だからこそ言える面もあるかもしれません。段階に応じて受け止め方を変える必要がありそうです。


継続の重要性について


最後に、継続についても触れられていました。


多くの場合、成果が出るまでには長い時間がかかります。この起業家の場合も、最初の2年間はまったく利益が出ませんでした。しかしその後、急激に成長したそうです。


これはダニング・クルーガー効果とも関連しています。人は最初に自分の能力を過大評価し、実際に始めてから難しさに気づきます。そこで多くの人がやめてしまうわけですが、続けた人だけがスキルの蓄積による恩恵を受けられるという構造です。


スターバックスのハワード・シュルツ氏も、17年間にわたって会社から報酬を得られなかったという例が紹介されていました。


このように、成果が出るまでの期間を正しく見積もっておくことは重要だと言えるでしょう。3か月や半年で判断してしまうのは早計かもしれません。


まとめ


今回ご紹介した原則をまとめると、以下のようになります。


  • 賢さより、ルールの理解と継続
  • 貯金はリスクを取るための土台
  • 成果は長い停滞の後に一気に出る
  • 商品や手法ではなく価値観から考える
  • 報酬は問題の難しさで決まる


どれも当たり前のように見えますが、実践できている人は多くありません。まずは自分がどの段階にいるのかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。


なお、これらの原則はいずれも海外の事例に基づくものであり、日本の商習慣や税制とは異なる部分もあります。そのまま適用するのではなく、ご自身の状況に合わせて調整していくことが望ましいと言えるでしょう。


事業においては、焦らず着実に進めていくことが何よりも重要です。今回の内容が、皆様の判断の一助となれば幸いです。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
文末と文の長さを不揃いにすると人間らしくなる
一文だけの段落を混ぜ、文末をですます・である・体言止め・疑問でばらし、一文の長さを10字から80字まで振った。内容ではなく形だけで、どこまで印象が変わるかを見る。
文字数2,798章数6段落54一文平均20字文長のばらつき9.9最長/最短62/5段落ばらつき31.81文だけの段落30%ですます0だ・である126体言止め0疑問7
「信じれば叶う」で3年溶かす前に読んでほしい

稼げない人が読む本は、だいたい間違っている。


私も読んだ。引き寄せ、マインドセット、思考が現実になる、あのあたりだ。あれを読んでいた期間、私の口座残高は1円も動かなかった。動いたのは、本を買った分だけ減った。


信念を変えても口座は動かない


順番の話をしたい。


信じられるようになったから稼げるのではない。稼いだから信じられるようになる。


これは精神論ではなく、情報の入り方の問題だ。売れると信じられないのは、売れた経験がないからだ。経験がないものを信じろと言われても無理がある。だから信じられないまま売るしかない。1件売れると、翌日から見え方が変わる。10件売れると疑いようがなくなる。


順番が逆なだけで、何年も足踏みしている人がいる。


私も足踏みしていた側だ。地方のホテルの会議室で、朝から夕方まで自分の思い込みを書き出す作業をやったことがある。参加費は覚えていないが、往復の交通費を入れるとそこそこの額になった。


書き出した紙は、今もどこかにあるはずだ。あの日書いた「制限的な思い込み」を、私はひとつも覚えていない。覚えているのは、帰りの電車で妙にすっきりした気分になったことだけだ。


すっきりしただけで終わった。


あの感覚が一番危ないと今は思っている。何かをやった気になる。前進した気になる。翌週には元に戻っている。そして戻ったことを、また内面のせいにする。輪が閉じる。


内面をいじる作業には、終わりがない。売上が立たない、マインドが原因だと言われる、整える、まだ立たない、もっと深いところにブロックがあると言われる、さらに整える。この輪は構造上、抜けられないようにできている。


そして輪の中にいる間、客に一度も会っていない。


頭の中にいる限り、あなたは死んでいる


耳が痛い話をする。


私は上流の設計が得意で、下流を延々と回すのが苦手だ。放っておくと、いつまでも構想を練る側に居座る。事業計画は美しくなる。売上は増えない。


構想の精度は、手を動かした量の分しか上がらない。根性論ではなく、単純に情報が足りないからだ。客に会っていない人間の仮説は、客に会った人間の仮説に必ず負ける。100回考えても、1回聞いた人間に負ける。


だから今、自分にひとつだけルールを課している。


考えた日は、その日のうちに何か1つ外に出す。返信でもいい。見積もりでもいい。出さなかった日の思考は、なかったことにする。


これで劇的に変わったかというと、そこまでではない。ただ、月末に振り返ったときの後悔の量が減った。それだけでも続ける価値はあると思っている。


全部やろうとしている


副業がうまくいかない人の相談を受けると、原因はだいたい同じところにある。


全部やろうとしている。


物販もやりたい、発信もやりたい、投資も勉強したい、本業もある。金の配分は気にするのに、時間の配分は無限にあると思っている。


無限ではない。それどころか、金より先に尽きる。


金には残高が表示される。1万円使えば1万円減るし、逆算もできる。時間には表示がない。だから無限にあるように扱う。


一度、1週間だけ書き出してみるといい。30分単位で、何に使ったかをスマホのメモに打つだけだ。集計もしなくていい。書いた時点で、たいてい見たくないものが見える。


私がやったときは、事業のことを考えていた時間が週11時間しかなかった。起きていたのは110時間だ。1割である。


その状態で「新しいことを始めよう」と考えていた。始まるわけがない。


葉っぱを握って根を探している


もうひとつ、相談の内訳で気づいたことがある。


質問のほとんどが、道具の話なのだ。


「このツールを使うべきですか」「今なら何が儲かりますか」。後者に至っては、質問の形をしていない。


物事には順番がある。何を大事に思っているか。どういう生き方をしたいか。それを踏まえた目標は何か。目標に対する戦略はどうか。そこまで降りて、ようやく手段や商品の話になる。


多くの人は、いちばん最後の層から入る。当然そうなる。そこだけが目に見えるからだ。


ただし、ここには私なりの留保がある。


根っこは、枝葉を何枚か触ってからでないと降りられない。


自分の価値観が何かなど、若い頃に聞かれても答えられなかった。答えられるようになったのは、いくつか事業をやって、向いていないものを実際にやってみた後だ。嫌だと感じたことを10個集めて、ようやく好きなものの輪郭が出てくる。


だから順序としては、触る、探す、組み直す、が現実的だと思っている。最初から根に降りようとすると、たいてい降りられずに固まる。自己分析だけで半年使う人を、何人も見てきた。


私が事業を作り直したとき、最初にやったのはツール選定でも市場調査でもなかった。「10年やっても嫌にならないものは何か」を書き出した。それだけで2週間使った。傍から見れば1円も生んでいない2週間だ。


あれがなかったら今はない。


解いている問題が簡単すぎる


最後に、伸び悩んでいる人に一番言いたいことを書く。


稼げる額は、解いている問題の難しさで決まる。


これは能力の話ではない。市場の話だ。誰でも答えられる問いに、誰よりうまく答えようとしている限り、値段は上がらない。競合が多すぎるからだ。


例を出す。「業務を効率化します」は簡単な問題だ。世の中に何千社もいる。「辞めた経理担当の代わりに、月次を止めずに回します」は難しい問題だ。競合は激減する。値段は数倍になる。同じ会社が、同じ人手でやっていても、だ。


何が違うのか。前者は「あったら嬉しい」、後者は「なければ会社が止まる」。それだけ。


自分がどちらを売っているか。ここを一度、正直に確かめてほしい。


一段ずつしか上がれない


ただし、いきなり一番難しい問題に飛ぶ人がいる。これは失敗する。


小さい問題を解いた経験がないと、大きい問題は解けない。難しい問題を解くには、簡単な問題を解いたときにしか手に入らない材料が要るからだ。


材料というのは知識ではない。どこで詰まるか、誰が何を止めるか、本当は何が面倒なのか。現場でしか手に入らない情報のことだ。


私も同じ道を通った。最初は自分で手を動かす仕事だった。効率も悪いし単価も安い。そこで見た光景が、今の判断のほとんど全部の材料になっている。あの時期を飛ばしていたら、今の仕事は取れていない。


スケールしないことをやれ、というのはこういう意味だ。効率が悪いからやるのではない。そこにしかない情報を取りに行くためにやる。 効率化は、取り終わってからでいい。




今日書いたことに、目新しいものは何もない。全部どこかで聞いた話だと思う。


それでも書いたのは、この手の当たり前が、日本では「稼げる裏技」の下敷きになって見えなくなっているからだ。裏技を探している時間で、当たり前を1つ実行した人間が勝つ。毎回そうなっている。


そして、読んだだけなら何の効果もない。それは分かって書いている。


ただ、この記事を読んだ時間はもう戻らない。せめて何か1つ、今日のうちに外に出してほしい。返信でもいい。見積でもいい。


出さなかった日の思考は、なかったことになる。


検証したい仮説
節ごとに賛成・反対を言い切ると要約に見えなくなる
各節の冒頭に「判定」を置き、使える/半分使える/使えない/保留を宣言してから理由を書く。日本の条件で成立するかを必ず自分で判定する。素材への態度を毎回明らかにする形。
文字数2,476章数8段落46一文平均20.6字文長のばらつき10.6最長/最短58/3段落ばらつき27.11文だけの段落11%ですます0だ・である97体言止め9疑問1
よく言われる「稼ぐための常識」を、中小企業の現場で使えるか全部判定した

稼ぎ方についてよく言われることは、半分は日本の中小企業でも使える。半分は使えない。


使えない方を見分けないまま真に受けると、金と時間の両方を失う。今日は7つ選んで、ひとつずつ判定していく。結論を先に書いてから理由を書く。


「賢さは要らない」


判定:使える。むしろ日本の方が効く。


事業の成否と、学歴や地頭の相関は想像よりずっと弱い。十数年見てきて、これははっきりしている。


むしろ賢い人ほど動けない。リスクが全部見えてしまうからだ。10個の懸念が見える人は、10個潰さないと始められない。3個しか見えない人は3個潰して始める。始めた方が先に進む。


日本ではさらに効く。経営者の平均年齢が高く、デジタル領域が空いているからだ。難しいことをやらなくても、当たり前を早くやるだけで勝てる場所が残っている。


ただし条件がある。「賢くなくていい」は「学ばなくていい」ではない。ここを取り違えると、単に勉強しない人になるだけだ。


「まず貯金しろ」


判定:半分使える。目的の理解が逆になっている場合が多い。


貯金の目的を「節約」だと思っている人が多い。違う。判断を鈍らせないためにある。


手元に半年分あるかないかで、同じ商談でも出せる条件が変わる。足元を見られたことがある人なら分かると思う。値切られたときに、飲むしかない状態と、断れる状態では、その後の関係まで変わる。


日本の中小企業が取るべき形はこうだ。生活費と固定費の6か月分を、事業の口座とは完全に分けた場所に置く。それが終わるまで、事業への追加投資は最低限にする。


派手ではない。だがこれがないと、必ずどこかで安く買い叩かれる。


一方で、貯金それ自体は金を生まない。ここを混同して、通帳の残高を増やすことが目的化している人も見る。そうなると今度は動けなくなる。目的は「動けるようにすること」であって、残高ではない。


「難しい問題を解けば単価が上がる」


判定:原理は正しい。日本でそのまま実行すると詰む。


稼げる額が、解いている問題の難しさに比例するのは事実だ。私の事業もその形で伸びた。


ただし日本でこれをやろうとすると壁がある。日本の中小企業は「売却」を出口として考えていない。


海外の事業指南では、最終的に「売れる会社の作り方」が最も高い商品として置かれることが多い。アメリカでは経営者が最初から売る前提で会社を作るからだ。日本にその文化はほぼない。だから同じ商品を持ってきても買い手が薄い。


日本で成立する「難しい問題」は別のところにある。事業承継。人手不足。属人化の解消。補助金の実務。どれも地味で、誰もやりたがらない。だから単価が付く。


原理を輸入して、対象を差し替える。これが正しい使い方だと思う。


「信念ではなく行動を変えろ」


判定:100%同意。日本ではむしろ強調が足りない。


ここは一切留保なく賛成する。


行動を変えれば信念は後からついてくる。逆はない。順番の話であって、精神論ではない。売れると信じられないのは売れた経験がないからで、経験がないものを信じろというのが無理な要求なのだ。


日本の方が事態は深刻だと思っている。マインドセット講座、潜在意識、波動。あの市場はよく育っている。


私が腹立たしいのは、売っている側ではなく、買った人が失う時間だ。3年ある。真剣にやれば、3年あれば小さくても回る事業が1つ作れる。それを内面の工事に使わせるのは、控えめに言って加害だと思う。


「不労所得を作れ」


判定:順序が逆。ただし日本には固有の論点がある。


起きている間に稼ぐスキルの方が先だ。


投資には投資のスキルが要る。そして事業で稼ぐスキルは投資に転用できるが、逆は難しい。事業をやった人は数字の読み方を覚えているので投資に移りやすい。投資しかやっていない人が事業を始めると、たいてい苦戦する。


だから順序としては、能動的な収入が先で正しい。


ただし日本には、法人を持っている場合に限って話が変わる領域がある。役員報酬の設計、決算期の選び方、設備投資の時期。これらは「寝ている間の話」ではないが、事業の稼ぎと同じくらい手残りを左右する。


海外の議論にはまず出てこない。日本固有の論点なので、別途書く。


「他人の収入を気にするな」


判定:そのまま使える。日本では特に効く。


自分にとって条件が合っているなら、相手がいくら得るかは関係ない。当たり前だが、これができない人が多い。


日本ではこれが特に効くと思っている。値引き交渉を美徳とする商習慣が残っているからだ。相手の取り分を削ることに使った時間は、自分の売上を1円も増やさない。しかも次から呼ばれなくなる。


私が取引先を選ぶ基準はひとつある。双方が「自分の方が得をした」と思っている取引かどうか。 そう思える相手とだけ長く続いている。例外はない。


SNSを見ていて、自分より稼いでいる人を見ると腹が立つ。という状態にある人は、ミュートした方がいい。感情の問題ではなく、単に時間の使い道として損だからだ。


「金が目的では続かない」


判定:正しい。ただし読者の段階によっては有害。


金それ自体は何も解決しない。これには同意する。


ただし、これを言っていい相手は限られる。すでに稼いだ人が言うから成立する話であって、これから稼ぐ人が真に受けると、目標を持つことに罪悪感を覚えるだけになる。


日本の発信で一番よく見る事故がこれだ。「お金じゃないんですよ」を、月商が立っていない人が言い始める。あれは思考停止の別名になっている。


私の立場を書いておく。まず稼げ。話はそれからだ。


稼いだ後に「金じゃなかった」と気づくのは健全だが、稼ぐ前に気づくのはただの逃避だと思っている。厳しく聞こえるかもしれないが、逆をやって時間を失う人を何人も見てきた。


7つ見て


そのまま使えるのが3つ、条件付きが3つ、要注意が1つだった。


打率としては悪くない。世の中で言われていることの半分弱が自分の条件で成立するなら、聞く価値は十分にある。


大事なのは、聞いたときに必ずこの判定を自分で通すことだ。良いことを言っているかどうかではなく、自分の業種と規模で成立するかどうかを見る。


そして最後に、この記事自体にも同じ判定を通してほしい。


私が書いたことのうち、あなたの条件で成立するものは、たぶん半分もない。どれが残るかは、あなたにしか判定できない。


検証したい仮説
固有の場面・数字・見積書レベルの具体があると、書いた人間の実在が伝わる
抽象語を使ったら必ずその場で具体例に落とす。金曜19時の電話、月額3万円と38万円の対比、入金までの5工程の日数。一般論を1行も書かないことを目標にした。数字は例示であり、著者自身の事業の数字は出していない。
文字数3,073章数6段落59一文平均21.6字文長のばらつき15.5最長/最短126/4段落ばらつき30.31文だけの段落22%ですます0だ・である128体言止め5疑問2
「時間がない」と言う人の1週間を30分単位で書き出したら、事業に使えていたのは11時間だった

自分の1週間を30分単位で書き出したことがある。7日間、起きている時間を全部だ。


集計して、事業のことを考えていた時間が11時間しかないことが分かった。起きていた時間は約110時間だった。1割である。


残りの99時間の内訳はこうだった。


  • 連絡と返信:26時間
  • 移動:14時間
  • 会議のうち、自分が決定に関与しなかったもの:19時間
  • 資料の体裁を整える作業:9時間
  • SNSと動画:17時間
  • その他、思い出せないもの:14時間


一番きつかったのは最後の14時間だ。何に使ったか思い出せない時間が、丸2日ぶんある。


今回、金の話をする海外の動画を2本見た。片方に「あなたは何でも買えるが、すべては買えない」という一行があって、この記録のことを思い出したので書く。


「すべては買えない」は金より時間に効く


その一行を言ったのは、個人の資産形成を扱う人だった。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


旅行が大事なら旅行に金を使えばいい。家が大事なら家でいい。ただし「あれもこれも」は無理だ、という話だ。当たり前に聞こえる。


そして彼女は続けてこう言う。これは金だけの話ではない。時間も、集中も、注意も、すべて有限資源として同じ構造をしている。人生そのものが最も有限な資源だ、と。


ここが本題だと私は思っている。


金については、ほとんどの人が有限だと分かっている。残高が表示されるからだ。1万円使えば1万円減る。逆算もできる。


時間については、表示がない。だから無限にあるように扱う。物販もやりたい、発信もやりたい、投資も勉強したい、本業もある。金の配分表は作るのに、時間の配分表は作らない。


作ってみると破綻している。私の場合、事業に使えていたのが週11時間だった。この状態で「新しいことを始めよう」と考えていた。始まるわけがない。


書き出し方は、集計しなくていい


やり方は単純だ。スマホのメモに、時刻と内容を打つだけでいい。


07:30 起床、メール確認
08:00 移動
08:40 A社打ち合わせ
09:30 移動
10:10 メール返信


これだけ。集計もしなくていい。私は最初、集計する前提で細かく分類しようとして2日で挫折した。分類をやめて、思い出せる範囲で打つだけにしたら7日続いた。


そして書き出した時点で、たいてい見たくないものが見える。集計は要らなかった。


効果は3つあった。


1つ目。会議の19時間が見えた。 自分が何も決めていない会議に、週19時間出ていた。半分に減らした。


2つ目。移動の14時間が見えた。 訪問を隔週にした。相手からは何も言われなかった。むしろ「そちらで大丈夫ですか」と気を遣われた。行かなくていい訪問を、こちらが勝手に続けていた。


3つ目。思い出せない14時間が見えた。 これが一番効いた。判断を先送りしている時間だった。決められない案件を開いては閉じ、また開いていた。


3つ目については、対処法を1つ決めた。開いて3分以内に決められないものは、その場で「今日は決めない」とメモに書いて閉じる。書くと、なぜか戻らなくなる。


半年に一度、この記録を取り直している。取るたびに違うものが出る。前回は資料の体裁に9時間使っていた。


事業の判断が遅れるのは、計算が難しいからではない


時間の話をもう一段掘る。


知り合いの経営者が、赤字ではないが手残りの薄い契約を解約するかどうかで悩んでいた。計算自体は5分で終わっていた。解約した方が手残りが増えることは、その場で出ていた。


決めるまでに3週間かかった。


3週間は何に使われたか。「せっかく取った客なのに」という感情の処理だった。


私も同じで、これは何年やっても速くならない。数字が出ていることと、決められることは別の能力だ。財務がどれだけ得意でも、この3週間は短くならない。


だから紙に書く。数字を紙に書いて、感情を口に出す。この2つを別の場所に置くだけで、決めるまでの日数が半分になる。理屈は説明できないが、何度もそうなっている。


そしてこの3週間も、時間の家計簿には出てこない。何もしていない時間として消える。私が「思い出せない14時間」と呼んでいるものの正体は、たぶんこれだ。


減らす対象を間違えないための一行


時間を減らすとき、多くの人は「効率化できるもの」から手を付ける。これが罠になる。


効率化できる作業は、たいてい成果に直結していない作業だ。資料の体裁、経費精算、メールの整理。だから効率化しても、空いた時間で何をするかが決まっていない。結局、別の効率化できる作業が入ってくる。


私が使っている基準を書いておく。


その作業をやめたとき、来月の売上に影響が出るか。


出るならやめない。出ないならやめる。効率化ではなく、やめる。


先ほどの内訳で言うと、こうなる。


  • 会議19時間 → 自分が決定に関与しないものは、やめても来月の売上に影響しない → やめる
  • 移動14時間 → 半分は影響しない → 隔週にする
  • 資料の体裁9時間 → 影響しない → 5割の完成度で出す
  • 連絡と返信26時間 → 影響する。ここは減らさない


やめると決めた作業を、効率化しようとしてはいけない。効率化は「その作業を続ける」という決定を含んでいる。週19時間の会議を、議事録ツールを入れて週17時間にしても意味がない。出るのをやめれば0時間になる。


私はここで2年ほど遠回りした。ツールを入れ、テンプレートを作り、手順を整えた。全部、やめればよかった作業だった。


もう一つの動画は、順番の話をしていた


2本目は、アメリカで会社を作って売った経営者の話だった。10個の原則を並べる構成で、その中に時間と直結する項目があった。


長い間まったく金にならず、ある日一気に来る、という原則だ。


彼女の最初の会社は2年間、利益が出なかった。損失を出し続けた。そして2年経ったあたりから、半年で7億円規模になったという。彼女はこれをダニング・クルーガー効果で説明していた。人は最初に自分の能力を過大評価する。始めてみると想像より難しくて、そこで大半がやめる。


スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から報酬を取れなかったそうだ。給料を払うために取引先から金を借りたこともあると言っていた。


ここで時間の話に戻る。


2年かかると知っていれば、3か月で辞めなくて済む。


多くの人は3か月で判断できると思っている。3か月で分かることは、せいぜい「まだ客に会っていない」ことくらいだ。


そして週11時間しか事業に使っていない人の3か月は、実働で132時間しかない。これは正社員の1か月にも満たない。「3か月やって駄目だった」の中身が、実は「1か月弱やって駄目だった」であることは珍しくない。


時間の家計簿を取る意味はここにもある。自分が本当はどれだけやったのかが分かる。やっていないなら、判断はまだ早い。


今週やること


書き出しは、明日の朝から始められる。準備は要らない。


スマホのメモアプリを開いて、時刻と内容を打つ。7日間。集計はしない。


7日後、事業に使えていた時間の合計だけ出してほしい。それが週11時間を下回っていたなら、新しい手法を探す前にやることがある。


減らせるものを1つ決める。それだけでいい。


私の場合、最初に減らしたのは会議だった。19時間が9時間になった。増えた10時間で何をしたかというと、特別なことはしていない。客に会う回数が週1回増えただけだ。


それで足りた。


最後に一つ、この記録を取ることの副作用を書いておく。


7日間打ち続けると、打つのが面倒な行動を自然に避けるようになる。「10:10 SNS」と打ちたくないから、SNSを開かなくなる。これは記録の目的ではないが、実際に起きる。


私はこれを利用している。効果が落ちてきたと感じたら、また7日間取る。行動を変えようとするより、記録を取る方が楽だからだ。


意志の力で行動を変えようとして失敗した経験があるなら、この順序を試してみてほしい。記録が先で、行動は後からついてくる。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
何を憎むかを言い切ると人格が立ち、読者が著者を信用する
AI全自動・引き寄せ・MLM的アフィリを名指しで否定する。ただし批判で終わらせず、否定の根拠を構造で示し、最後に代案と希望を置く。強い否定が読後感を悪くしないかを見る。
文字数3,060章数7段落63一文平均21字文長のばらつき12.1最長/最短73/3段落ばらつき251文だけの段落17%ですます0だ・である128体言止め1疑問3
「AIで全自動、寝てても月100万」を追いかけて失うのは金ではなく3年です

はっきり書く。


AIで全自動、不労所得、ワンクリック、コピペで月100万。この手の商品を追いかけている間、あなたは1円も稼げない。それだけならまだいい。最も高くつくのは、そこで溶かした時間だ。


金は取り返せる。3年は取り返せない。


私はこの手の話を批判するのがあまり好きではない。批判している間も何も生まれないからだ。それでも今日書くのは、この構造を言い当てている海外の動画を見て、自分の中で整理がついたからだ。


「引き寄せ」で数か月を捨てた人の話


アメリカで会社を作って売った経営者が、自分の失敗をこう語っている。


彼女は稼げなかった時期、「金持ちのように振る舞えば金が来る」と書かれた本を真に受けた。豊かに振る舞う練習として、スーパーの帰りに買った食料品をホームレスに全部渡した。寄付もした。数週間続けた。


何も起きなかった。


そこに当時の恋人が一言、こう言ったという。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


彼女はこの一行で目が覚めたと言っている。信じているかどうかは関係ない。やったかどうかしか関係ない、と。


私が言いたいのはここだ。内面をいじる作業には、終わりがない。


売上が立たない → マインドが原因だと言われる → マインドを整える → まだ立たない → もっと深いブロックがあると言われる → さらに整える。この輪は構造上、抜けられない。抜けられない商品設計になっている。


そして輪の中にいる間、客に一度も会っていない。


「全自動で稼ぐ」が成立しない理由は、精神論ではない


不労所得の話も同じ動画に出てくる。


彼女は「寝ている間に稼げ」と勧められて不動産を買った。結果はこうだ。入居者の対応が来る。管理会社が契約を切ってくる。設備の責任は自分に来る。1年かけて手放し、200万円ほど損をした。


そして彼女はこう結論づけている。


投資も、投資というスキルが要る。何も要らない収入は存在しない


これは精神論ではなく、単純な事実の指摘だ。自動化された仕組みは、自動化する作業を誰かがやっている。その誰かがあなたでないなら、あなたはその仕組みを買っているだけで、作ってはいない。


買った仕組みは、市場が変われば死ぬ。作った人は次を作れる。買った人は次を買いに行く。だから永遠に買い続ける。


「全自動」を売っている人が、なぜ全自動で稼がずに、全自動の売り方を売っているのか。 ここを一度だけ真剣に考えてほしい。答えは出ている。


MLM的なアフィリエイトを勧めない理由


紹介報酬で人を増やしていく形の商売についても書いておく。


倫理的にどうか、という話をしたいのではない。もっと手前の、事業として成立するかという話だ。


事業には必ず、金を払う客がいる。客が商品を使って、その対価として金を出す。この一本の線があって初めて事業になる。


紹介報酬の階層が深い商売では、この線が細くなる。参加者の収入の大半が「新しく入った人が払った金」から来る場合、それは商品を売っているのではなく、参加権を売っている。参加者が増えなくなった瞬間に止まる。


止まる時期は選べない。市場に人が残っているかどうかで決まる。自分の努力と、結果が連動しない。 私が事業として勧めない理由はこれに尽きる。


努力が結果に連動しない場所に、努力を注いではいけない。どれだけ真面目にやっても、真面目さが報われない設計になっている。


「情報発信に限界を感じている」人へ


もう1つ、この構造にはまりやすい場所がある。情報発信だ。


毎日投稿している。数字は伸びない。もっと頻度を上げろと言われる。上げる。伸びない。今度は型が悪いと言われる。型を学ぶ講座を買う。伸びない。


私はこの流れを何度も見てきた。そして原因は、ほぼ毎回同じところにある。


発信のやり方が悪いのではない。話している内容が簡単すぎる。


誰でも答えられる問いに、誰よりうまく答えようとしている。それは消耗戦で、勝てるのは一日中それをやれる人だけだ。頻度でも型でも、この構造は覆らない。


さっきの動画にあった原則を、発信に置き換えるとこうなる。


読まれる量は、扱っている問いの難しさに比例する


「副業の始め方」は簡単な問い。10万人が同じことを書いている。「経理担当が突然辞めた会社が、翌月の決算をどう乗り切るか」は難しい問い。書ける人はほとんどいない。


後者は読者が少ない。だが、読んだ人は金を払う。前者は読者が多い。だが誰も金を払わない。


伸び悩んでいるなら、投稿を増やす前に、扱う問いを1段難しくしてほしい。減った読者の質が変わる。それで十分に元が取れる。


では何をやればいいのか


否定だけして終わるのは無責任なので、私が実際に人に勧めていることを書く。3つある。


1. 目の前の一人に、手作業で売る


効率は最悪でいい。仕組み化もしなくていい。まず一人に、自分の手で売る。売れなかったら理由を聞く。これを10人繰り返す。


10人に聞いた人間の仮説は、100時間考えた人間の仮説に必ず勝つ。例外を見たことがない。


2. 客が「なければ止まる」と言うものを探す


さっきの動画に、稼げる額は解く問題の難しさに比例する、という原則があった。これは正しい。


判定は簡単だ。あなたの商品が明日から無くなったとき、客の会社で何かが止まるか。止まらないなら、値段は上がらない。止まるなら、値段は言い値になる。


「あったら便利」を磨いても、単価は上がらない。磨く方向が違う。


3. 2年、成果が出ない前提で計画する


同じ動画で、彼女の最初の会社は2年間まったく利益が出なかったと言っていた。損失を出し続けた。そして2年後、半年で7億円規模になった。


スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から金を取れなかったという。給料を払うために取引先から借りたこともあるらしい。


これを読んで「自分には無理だ」と思う必要はない。逆だ。2年かかるものだと最初から知っていれば、3か月で辞めなくて済む。


多くの人は、3か月で判断できると思っているから辞める。3か月で判断できることは何もない。せいぜい「まだ客に会っていない」ことが分かるくらいだ。


見分け方を1つだけ渡しておく


とはいえ、世の中には正当な教材もある。全部を疑えと言いたいわけではない。


見分ける基準を1つだけ書く。私が使っているものだ。


その商品は、買った人が実際に作業する前提になっているか。


正当な教材は、必ず読者に作業を要求する。「客に10人会え」「見積を書き直せ」「数字を並べろ」と。面倒で、地味で、時間がかかる作業だ。


危ない商品は、作業を要求しない。代わりに「仕組みが働きます」「AIが勝手にやります」「意識が変われば結果が変わります」と言う。


前者は退屈で、後者は魅力的に見える。だから後者が売れる。売れた分だけ、買った人の時間が消えていく。


判断に迷ったら、販売ページで「あなたがやること」を探してほしい。書いていない商品は、たいてい買わなくていい。


希望の話をして終わる


ここまで厳しいことばかり書いたので、最後に希望の話をする。


近道がない、というのは悪い知らせに聞こえる。だが同時に、これは最高の知らせでもある。


近道があるなら、金と情報を持っている人間が全部先に通っている。あなたの番は回ってこない。近道がないということは、時間をかけた人間が確実に前に行くということだ。


そしてもう一つ。この構造を知っている人は、実は少ない。多くの人が近道を探しているうちに脱落していく。当たり前を2年続けるだけで、気づくと周りに誰もいなくなっている。


私が見てきた範囲で言うと、うまくいった人に共通しているのは能力ではなかった。飽きた後も続けたかどうか、それだけだった。


だから今日、あなたに何かを買わせようとしている画面を閉じてほしい。その時間を、来週の商談1件に回してほしい。


それだけで、探し続けている人の前に出る。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
脱線し、回収せず、素材に反論すると「書いている人」が立ち上がる
「関係ない話をひとつ」と明示して逸れ、戻る。素材の主張に一箇所だけ反対し、ずれたまま置く。最後に「まとまらないので次回にする」と未完で終える。きれいに閉じないことの効果を見る。整いすぎた構成こそAIの特徴、という仮説。
文字数3,082章数7段落57一文平均22字文長のばらつき12最長/最短88/3段落ばらつき30.41文だけの段落19%ですます0だ・である124体言止め4疑問3
稼げなかった頃の自分に、いま何を言うか考えていた

夜中に目が覚めて、そのまま眠れなくなった。


稼げなかった頃の自分に、いま何を言うだろうかと考えていた。今日はその順番で書く。整理された話にはならないと思う。


「金持ちのように振る舞え」で数か月消した話


1本目に出てきたアメリカの経営者が、自分の恥ずかしい話をしていた。


彼女は稼げない時期、金持ちのように振る舞えば金が来ると書かれた本を真に受けた。スーパーの帰りに買った食料品をホームレスに全部渡した。寄付もした。数週間続けたが、何も起きなかった。


そこに当時の恋人が言ったという。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


これを聞いて、自分もまったく同じことをやっていたのを思い出した。


私の場合は本ではなくセミナーだった。地方のホテルの会議室で、朝から夕方まで、自分の思い込みを書き出す作業をやった。参加費は覚えていないが、往復の交通費を含めるとそこそこの額だった。


書き出した紙は今もどこかにあるはずだ。あの日書いた「制限的な思い込み」を、私は一つも覚えていない。覚えているのは、帰りの電車で妙にすっきりした気分になったことだけだ。


すっきりしただけで終わった。


あの感覚が一番危ないと今は思っている。何かをやった気になる。前進した気になる。翌週になると元に戻っている。そして戻ったことを、また内面のせいにする。輪が閉じる。


順番の話をしたい


だから稼げなかった頃の自分に言うことがあるとすれば、まず順番の話をする。


信念が変わってから行動が変わるのではない。行動が変わってから信念が変わる。これは精神論ではなく、単に情報の入り方の問題だ。


売れると信じられないのは、売れた経験がないからだ。だから信じられないまま売ればいい。1件売れると、翌日から世界の見え方が変わる。10件売れると、もう疑いようがなくなる。順番が逆なだけで、多くの人が何年も足踏みしている。


彼女も動画の中で似たことを言っていた。自分は一度も「億を稼げる」と信じたことがなかった、ただ稼げる人がやっている行動を真似しただけだ、と。


これは、希望のある話だと思う。


信じられない人でも稼げる。むしろ、信じられないまま手を動かした人の方が、早く着く。


関係ない話をひとつ


ここで少し逸れる。


その動画の中で、彼女が不動産を買って失敗した話が出てくる。不労所得を作ろうとして、入居者対応も管理会社の解約も全部自分に降ってきて、1年かけて手放した。200万円ほど損をしたと言っていた。


私が引っかかったのは損の額ではなく、彼女が「property management companies could drop your account」と言っていた部分だった。管理会社の側から契約を切られることを知らなかった、と。


これは日本でも同じで、しかも語られない。管理会社は儲からない物件から順に切っていく。切られた瞬間に、投資が労働に変わる。


この話は今日の本題とは関係ない。ただ、こういう「知らなかったことが一番高くつく」という構造は、事業でも投資でも同じ形で出てくる。だから書いておく。


戻る。


木の話が良かった


2本目は別の人の動画で、静かな内容だった。金の考え方を木にたとえていた。


根が価値観。幹が生き方。枝が目標と戦略。葉が戦術と商品。


そして、ほとんどの人は葉から質問を始めるという。どのアプリを使うべきか。何に投資すべきか。


これを聞いて、自分が受けてきた相談の内訳を思い返した。ほとんど葉だった。


ただ、この話には続きがある。彼女は「根から始めろ」と言っているが、私は少し違う考えを持っている。


根は、葉を何枚か触ってからでないと降りられない。


価値観が何かなんて、20代の頃に聞かれても答えられなかった。答えられるようになったのは、いくつか事業をやって、向いていないものを実際にやってみた後だ。「これは嫌だ」を10個集めて、ようやく「じゃあ何が好きなのか」の輪郭が出てくる。


だから順番としては、葉を触る → 根を探す → 根から枝を組み直す、が現実的だと思っている。最初から根に降りようとすると、たいてい降りられずに固まる。


ここは彼女の主張とずれる。ずれたまま書いておく。どちらが正しいかは、読んだ人が自分で決めればいい。


「何でも買えるが、すべては買えない」


同じ動画に、こういう一行があった。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


旅行が大事なら旅行に金を使えばいい。ただし「あれもこれも」は無理だ、という話だった。


そして重要なのは、これが金だけの話ではないという指摘だ。時間も、集中も、注意も、同じように有限だと彼女は言う。


金の家計簿を付ける人は多い。時間の家計簿を付ける人はほとんどいない。付けてみると、たいてい破綻している。


私も一度やった。1週間、30分単位で何に使ったかを書き出した。結果を見て、事業のことを考えている時間が想像の3分の1しかないことが分かった。残りは全部、連絡と移動と、判断の先送りに使われていた。


あれは効いた。今でも半年に一度やる。


やり方は単純で、スマホのメモに時刻と内容を打つだけでいい。集計もしなくていい。書き出した時点で、たいてい見たくないものが見える。


2年、何も起きない話


もう一つ、1本目の動画で手が止まった箇所がある。


彼女の最初の会社は、2年間まったく利益が出なかった。出ないどころか、損失を出し続けたという。そして2年経ったあたりから、半年で7億円規模、2年半で27億円規模になった。


外から見た人は「運が良かった」と言う。中にいた人間は、2年でスキルが積み上がっただけだと知っている。


彼女はここでダニング・クルーガー効果を持ち出していた。人は最初に自分の能力を過大評価する。過大評価しないと始められないからだ。始めてみると想像より難しくて、自分が下手だと気づく。そこで大半がやめる。


スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から報酬を取れなかったらしい。給料を払うために取引先から金を借りたこともあると言っていた。17年は長い。


この手の話を聞くと、たいてい二つに割れる。「そんなに待てない」と思う人と、「2年でいいのか」と思う人だ。


私は後者だった。というより、後者になったのは3回目くらいからだ。最初の頃は、3か月で数字が動かないと不安で仕方がなかった。毎日アクセス解析を開いていた。開いても何も変わらないと分かっているのに開いていた。


あれをやめたきっかけは、単純に忙しくなったからだった。見る暇がなくなって、3週間ぶりに開いたら数字が伸びていた。それだけの話だ。教訓めいたことを言うつもりはない。ただ、見ている間は伸びなかったという事実だけがある。


ただし、続ければ必ず報われるとは書かない。それは嘘になる。方向が間違っていれば、10年やっても同じところにいる。私も一つ、5年かけて畳んだ事業がある。あれは続けたことが間違いだった。


続けることと、方向を確かめることはセットで要る。片方だけでは足りない。


方向の確かめ方は一つしかないと思っている。客に聞く。売れたか、売れなかったか。それ以外の指標は、全部あとから自分を慰めるための数字だ。私はそう扱っている。


結局、何を言うか


長くなった。稼げなかった頃の自分に一つだけ言えるなら、たぶんこう言う。


今週、客に会え。


考えるのは会った後でいい。本を読むのも、講座を取るのも、思い込みを書き出すのも、全部会った後でいい。会う前にやったことは、ほぼ全部無駄になった。


もっと言うと、会うのが怖いから他のことをやっていた。断られるのが怖かった。あの数か月は、怖さを別の作業で薄めていただけだ。


そこまで自覚できたのは、だいぶ後になってからだった。


今日はここで終わる。書きながら思い出したことがもう一つあるが、うまくまとまらないので次回にする。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
章を減らし、1論点を深掘りする方が、多論点の網羅より強い
章を5つに絞り、1章あたりを長くした。箇条書きを使わず地の文で押す。扱う論点は「解いている問題が簡単すぎる」の一点のみ。他のパターンが素材の複数の主張を並べるのに対し、これは1つを掘る。スクロールが続くかを見たい。
文字数4,109章数5段落35一文平均23.6字文長のばらつき11.1最長/最短53/4段落ばらつき47.41文だけの段落3%ですます0だ・である154体言止め1疑問5
事業が伸びない理由は、たいてい「解いている問題が簡単すぎる」に集約される

努力しているのに稼げない、という相談を受けることがある。話を聞くと、本当に努力している。毎日投稿し、毎日勉強し、休みも取っていない。それでも数字が動かない。


原因はほとんどの場合、努力の量ではない。方向でもない。解いている問題が簡単すぎることだ。


今回、金の稼ぎ方について語る海外の動画を2本見た。1本はアメリカで会社を作って売った経営者の話、もう1本は個人の資産形成を扱う人の話だった。方向性はまるで違うのに、根のところで同じことを言っていた。それを軸に、この「問題の難しさ」という一点だけを深く書く。


報酬は難易度に比例するという、身も蓋もない話


1本目の動画は10個の原則を並べる構成で、最後に置かれていたのがこれだった。稼げる額は、解決する問題の難しさに比例する。


彼女自身のキャリアが、そのまま例になっている。最初は個人にダイエットを教えていた。次にジムに客を送る仕事に移った。次にジムの経営者に集客のやり方を教えるようになった。次に売却できるジムの作り方を教えるようになり、最後に売却できる会社の作り方を教えるようになった。一段上がるたびに、報酬の桁が変わったという。


彼女はもう一つ例を挙げていた。知り合いがSMSチャットのソフトウェア会社をやっていて、そこそこ動いてはいたが伸びなかった。同じ問題を解くツールが30社あったからだ。その人がある日、まったく別の商品を持ってきた。プロテインバーだった。彼女は内心「無理だろう」と思ったという。プロテインバーなど市場に溢れている。


食べてみて評価が変わった。まずくない。腹も痛くならない。カロリーも低い。既存のプロテインバーが全部持っていた欠点を、その商品だけが解いていた。ソフトウェア会社は数億円で売却され、プロテインバーの方は桁が二つ違う金額になったそうだ。


ここで注意したいのは、彼女が「難しい問題」を技術的な難しさとして語っていないことだ。プロテインバーの製造は、SMSチャットのシステムより技術的に高度ではない。それでも報酬は上だった。何が違うのか。誰も解いていなかったこと、そして解けたときに消える痛みが大きかったこと。 この2つに尽きる。


日本でこれを実感したければ、自分が出している見積書を2枚並べてみるといい。単価の高い方と安い方を比べたとき、技術的に難しいのはどちらだろうか。私の手元にある例では、安い方が難しい。単価が高い案件は、たいてい地味で、手作業が多く、誰もやりたがらない仕事だ。そして客にとっては「なければ止まる」仕事だ。


止まるか止まらないか。この一点だけが値段を決めている。品質でも、技術でも、実績でもない。もちろんそれらは受注の条件にはなる。だが値段の桁を決めるのは、客の会社で何が止まるかだ。あったら便利なものを、どれだけ丁寧に磨いても、便利の値段からは出られない。


自分の商品がどちらなのかを判定する方法を書いておく。紙に一行、こう書いてみてほしい。「これが明日から無くなったら、誰の仕事が誰に降ってくるか」。降ってくる先が担当者本人なら、単価は上がらない。担当者は少し残業して終わりだからだ。降ってくる先が経営者なら、単価は上がる。経営者に降る仕事は、経営者が金を払ってでも避けたい仕事だからだ。書けなかった場合は、その商品はまだ商品になっていない。


一段も飛ばせない、という制約


ここまで読んで「では難しい問題を解けばいいのか」と考えた人に、先回りして釘を刺しておきたい。飛び級はできない。


同じ動画で、彼女ははっきりこう言っている。小さい問題を先に解いていなければ、大きい問題は解けなかった、と。1年目から会社の売り方を教えられたわけではない。個人にダイエットを教えた経験があったから、ジムに客を送る仕事ができた。客を送った経験があったから、経営者に集客を教えられた。順番に積み上がったスキルが、次の段の入場券になっている。


なぜ飛ばせないのか。難しい問題を解くには、簡単な問題を解いたときに手に入る材料が必要だからだ。ここで言う材料とは、知識ではない。「どこで詰まるか」「誰が何を止めるか」「本当は何が面倒なのか」という、現場でしか手に入らない情報のことだ。


コンサルティングの提案が薄っぺらく感じられるとき、たいていこの材料が欠けている。フレームワークは知っている。事例も知っている。だが、その会社の経理担当が月末に何時まで残っているかを知らない。だから提案が「一般的に正しいこと」で終わる。客は一般論に金を払わない。


私が今の仕事を取れているのは、以前に単価の安い、効率の悪い仕事をやっていたからだ。伝票を一枚ずつ入力するような仕事だった。当時は正直やりたくなかった。時給に換算すると笑えない数字だった。だがあの時期に見た光景が、今の判断のほぼ全部の材料になっている。どの作業が本当に止まるのか、担当者が何を隠すのか、経営者がどの数字だけを見ているのか。全部あそこで覚えた。


これが「スケールしないことをやれ」という言葉の中身だと私は理解している。よく誤解されるが、これは根性論ではない。効率が悪いからやるのでもない。そこにしかない情報を取りに行くためにやる。 情報を取り終わったら、効率化していい。順番を逆にした人が一番多く消えていく。まだ何も分かっていないうちに仕組みを作り、その仕組みが間違った前提の上に建っていることに、半年後に気づく。


だから、いま単価の安い仕事をしている人に伝えたいことがある。その仕事の単価が安いこと自体は問題ではない。問題は、その仕事から情報を取っていないことだ。同じ作業を1年やっても、客に何も聞かなければ材料は増えない。作業のあとに一つ質問するだけで、その仕事は投資になる。


発信が伸びないのも、同じ構造をしている


この原則は、事業だけでなく情報発信にもそのまま当てはまる。むしろ発信の方が、露骨に出る。


毎日投稿している。数字が伸びない。頻度を上げろと言われる。上げる。伸びない。今度は型が悪いと言われる。型を学ぶ。伸びない。この流れを何度も見てきた。そして原因は毎回同じところにある。扱っている問いが簡単すぎるのだ。


「副業の始め方」は簡単な問いだ。日本語で書いている人が何万人といる。ここで勝つには、他の誰よりうまく書くか、他の誰よりたくさん書くしかない。どちらも消耗戦で、一日中それをやれる人にしか勝ち目がない。一方で「経理担当が突然辞めた会社が、翌月の決算をどう乗り切るか」は難しい問いだ。書ける人がほとんどいない。読者は激減する。だが読んだ人は金を払う。


多くの人は、読者が減ることを恐れて簡単な問いに留まる。気持ちは分かる。数字は目に見えるし、減ると不安になる。だが簡単な問いの読者は、そもそも金を払わない層でもある。無料で解決する問題だから読んでいるのであって、有料で解決したい問題ではないからだ。ここを取り違えると、フォロワーは増えるのに売上が立たない、という状態で固定される。


伸び悩んでいるなら、投稿の数を増やす前に、扱う問いを一段だけ難しくしてほしい。一段でいい。読者数は落ちる。落ちた先に残った人が、あなたの客になる。


根まで降りるのは、葉を触ってからでいい


2本目の動画は、もっと手前の話をしていた。金の考え方を木にたとえる話だ。根が価値観、幹が生き方、枝が目標と戦略、葉が戦術と商品。そしてほとんどの人は葉から質問を始める、と彼女は言う。どのアプリを使うべきか、何に投資すべきか、という具合に。


指摘は正しい。私が受けてきた相談も、思い返せばほとんどが葉だった。「今なら何が儲かりますか」に至っては、落ち葉を拾っている。


ただ、私はこの主張に一つだけ留保を付けたい。根は、葉を何枚か触ってからでないと降りられない。


自分の価値観が何かなど、若い頃に聞かれても答えられなかった。答えられるようになったのは、いくつか事業をやって、向いていないものを実際にやってみた後だ。嫌だと感じたことを10個集めて、ようやく好きなものの輪郭が出てくる。順序としては、葉を触る、根を探す、根から枝を組み直す、が現実的だと思っている。最初から根に降りようとすると、たいてい降りられずに固まる。自己分析だけで半年使う人を何人も見てきた。


同じ動画にもう一行、良い言葉があった。あなたは何でも買える、ただしすべては買えない。これは金だけの話ではなく、時間も、集中も、注意も同じ構造をしているという指摘だった。


副業がうまくいかない人の相談を受けると、だいたいこれが原因になっている。全部やろうとしている。物販もやりたい、発信もやりたい、投資も勉強したい。金の配分は気にするのに、時間の配分は無限にあると思っている。無限ではない。それどころか、金より先に尽きる。


そして時間が尽きたとき、人は「もっと効率のいい方法があるはずだ」と考える。そこにチートや自動化を売る商品が刺さる。この順序で人が消えていくのを、何度も見た。効率を探し始めた時点で、たいてい方向を間違えている。効率が必要なのは、正しいことをやりすぎて手が回らなくなった人だけだ。まだ客に会っていない人に、効率は要らない。


明日からどうするか


まとめる代わりに、順番だけ書いておく。


まず、今週のうちに客に一人会う。会って、いま何が一番面倒かを聞く。次に、その面倒が「無くなったら誰の仕事が誰に降るか」を紙に書く。経営者に降ると書けたなら、そこがあなたの次の商品になる。担当者に降るとしか書けなかったなら、まだ聞き足りない。もう一人会う。


これを10人繰り返せば、扱うべき問いは自然に決まる。10人に聞いた人の仮説は、100時間考えた人の仮説に必ず勝つ。私はこの例外をまだ見たことがない。


そして、2年かかると思っておいてほしい。1本目の動画の彼女も、最初の会社は2年間まったく利益が出ず、損失を出し続けたと言っていた。そのあと半年で桁が変わった。スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から報酬を取れなかったそうだ。給料を払うために取引先から金を借りたこともあるという。


2年かかると知っていれば、3か月で辞めなくて済む。多くの人は、3か月で判断できると思っているから辞める。3か月で分かることは、せいぜい「まだ客に会っていない」ことくらいだ。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
二人称で書き、読者の現在地を先に肯定すると最後まで読まれる
「あなたは今、努力している」から始め、全編を通して特定の一人に宛てて書く。読者の無力感を否定せず、それが正常な通過点だと位置づけてから本題に入る。励ましだけで終わらせず、厳しい判定と具体的な行動で閉じる。
文字数3,298章数6段落65一文平均21.5字文長のばらつき9.8最長/最短63/5段落ばらつき30.31文だけの段落20%ですます1だ・である132体言止め0疑問7
半年やって数字が動かないあなたへ。たぶん問題は努力量ではない

あなたは今、努力している。


毎日投稿して、休みの日も勉強して、それでも数字が動かない。周りは伸びているように見える。自分だけ止まっている気がする。


その状態でこれを読んでいるなら、まず一つだけ伝えたい。あなたの努力量は足りている。 足りていないのは別のところにある。今日はそれを書く。


海外の動画を2本見た。ひとつはアメリカで会社を作って売った経営者の話、もうひとつは個人の資産形成を扱う人の話だった。どちらも、あなたが今いる場所の説明になっていた。


あなたが今いる場所には名前がついている


1本目の動画で、こういう話が出てくる。


彼女の最初の会社は、2年間まったく利益が出なかった。出ないどころか、損失を出し続けた。そして2年経ったあたりから、半年で7億円規模になった。


彼女はこの期間を、ダニング・クルーガー効果で説明していた。人は最初、自分の能力を過大評価する。過大評価しないと始められないからだ。始めてみると想像より難しくて、自分が下手だと気づく。ここで大半の人がやめる。


あなたが今いるのは、たぶんこの場所だ。


最初は「いけそうだ」と思っていたはずだ。今は「思っていたより難しい」と感じている。この落差そのものが、正常に進んでいる証拠になっている。落差を感じていない人は、まだ本気で始めていない人だけだ。


だから、まず安心してほしい。あなたが感じている無力感は、失敗の兆候ではない。それは全員が通る場所で、そこにいることが分かっているだけ、あなたは有利な位置にいる。


ただし、ここから先を読んでほしい。安心だけして終わると、何も変わらないからだ。


それでも、続ければ報われるとは書かない


正直に書く。続ければ必ず報われる、とは言えない。それは嘘になる。


方向が間違っていれば、10年やっても同じところにいる。私も一つ、5年かけて畳んだ事業がある。あれは続けたことが間違いだった。もっと早くやめていれば、5年ぶんの時間が別のことに使えた。


だから、あなたに必要なのは「続ける」ことだけではない。続けることと、方向を確かめることの両方だ。片方だけでは足りない。


そして方向の確かめ方は、一つしかないと思っている。


客に聞くことだ。売れたか、売れなかったか。


インプレッションでも、フォロワー数でも、保存数でもない。それらは動いていても売れないことがあるし、動かなくても売れることがある。あなたが半年見てきた数字のうち、本当に方向を教えてくれるものが何個あっただろうか。


あなたの努力が効かない理由


ここからが本題になる。


あなたが半年やって伸びないのは、努力量でも、方向の大枠でもない可能性が高い。扱っている問いが簡単すぎるのだ。


1本目の動画の最後に、こういう原則があった。稼げる額は、解決する問題の難しさに比例する。


これを発信に置き換えると、そのまま当てはまる。


「副業の始め方」は簡単な問いだ。日本語で書いている人が何万人といる。ここで勝つには、他の誰よりうまく書くか、他の誰よりたくさん書くしかない。どちらも消耗戦で、一日中それをやれる人にしか勝ち目がない。


あなたが疲れているのは、この消耗戦に参加しているからだ。努力が足りないのではない。努力が効かない場所で努力している。


では難しい問いとは何か。例を出す。


「経理担当が突然辞めた会社が、翌月の決算をどう乗り切るか」


これは難しい。書ける人がほとんどいない。読者は激減する。だが、読んだ人は金を払う。


あなたはたぶん、読者が減ることを恐れて簡単な問いに留まっている。気持ちは分かる。数字は目に見えるし、減ると不安になる。だが簡単な問いの読者は、そもそも金を払わない層でもある。無料で解決する問題だから読んでいるのであって、有料で解決したい問題ではないからだ。


フォロワーは増えるのに売上が立たない。この状態に心当たりがあるなら、原因はここにある。


「あなたは何でも買えるが、すべては買えない」


2本目の動画から、一行だけ引く。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


金だけの話ではないと彼女は続ける。時間も、集中も、注意も同じ構造をしている。人生そのものが最も有限な資源だ、と。


あなたに聞きたいことがある。


いま、いくつのことを同時にやっているだろうか。


発信もやり、商品も作り、勉強もし、本業もある。もしかしたら物販や投資にも手を出しているかもしれない。金の配分は気にしているのに、時間の配分表は作っていないのではないだろうか。


一度、1週間だけ書き出してみてほしい。30分単位で、何に使ったかをスマホのメモに打つだけでいい。集計もしなくていい。


私も一度やった。事業のことを考えている時間が、想像の3分の1しかなかった。残りは連絡と移動と、判断の先送りに使われていた。あれは効いた。今でも半年に一度やる。


書き出した時点で、たいてい見たくないものが見える。それが分かれば十分だ。


あなたが今、一番避けるべきもの


もう一つだけ、先に潰しておきたいことがある。


半年やって数字が動かないとき、人はほぼ例外なく「もっと効率のいい方法があるはずだ」と考え始める。


そこに、AIで全自動、ワンクリック、寝ている間に、という商品が刺さる。あなたのタイムラインにも流れてきているはずだ。半年前より、今のほうが目に入るようになっていないだろうか。


あれは、あなたが疲れているタイミングを狙って設計されている。


1本目の動画の彼女も、同じ罠にはまっている。稼げない時期、金持ちのように振る舞えば金が来ると書かれた本を真に受けて、スーパーの帰りに買った食料品をホームレスに全部渡した。寄付もした。数週間続けて、何も起きなかった。


そこに当時の恋人が一言、こう言ったという。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


信じているかどうかは関係ない。やったかどうかしか関係ない、と彼女はまとめている。


彼女はもう一つ、不労所得でも失敗している。勧められて不動産を買ったら、入居者対応も、管理会社に契約を切られることも、全部自分に降ってきた。1年かけて手放し、200万円ほど損をした。そして「投資も、投資というスキルが要る。何も要らない収入は存在しない」と結論づけている。


見分け方を一つ渡しておく。私が使っているものだ。


その商品は、買った人が実際に作業する前提になっているか。


正当な教材は、必ずあなたに作業を要求する。「客に10人会え」「見積を書き直せ」と。面倒で、地味で、時間がかかる。


危ない商品は作業を要求しない。代わりに「仕組みが働きます」「意識が変われば結果が変わります」と言う。


前者は退屈で、後者は魅力的に見える。だから後者が売れる。売れた分だけ、買った人の時間が消える。


金は取り返せる。半年は取り返せない。あなたが今持っている一番高価なものは、続けてきた半年ぶんの時間だ。それをここで手放さないでほしい。


今週、これだけやってほしい


長く書いたので、やることは1つに絞る。


今週、客に一人会ってください。


会って、いま何が一番面倒かを聞く。それだけでいい。売り込まなくていい。商品がなくてもいい。


会ったら、その面倒について紙に一行書く。「これが無くなったら、誰の仕事が誰に降ってくるか」。


降る先が担当者本人なら、まだ聞き足りない。もう一人会う。降る先が経営者なら、そこがあなたの次の商品になる。


10人繰り返せば、扱うべき問いは自然に決まる。10人に聞いた人の仮説は、100時間考えた人の仮説に必ず勝つ。 私はこの例外をまだ見たことがない。


最後に、希望の話を書いて終わる。


近道がない、というのは悪い知らせに聞こえると思う。だが同時に、これは最高の知らせでもある。


近道があるなら、金と情報を持っている人間が全部先に通っている。あなたの番は回ってこない。近道がないということは、時間をかけた人が確実に前に行くということだ。


そしてもう一つ。この構造を知っている人は少ない。多くの人が近道を探しているうちに脱落していく。当たり前を2年続けるだけで、気づくと周りに誰もいなくなっている。


あなたは半年続けている。


半年というのは、始めた人の大半がすでに脱落している長さだ。あなたはその選別を、気づかないうちに一度通過している。


数字が動いていないから見えないだけで、あなたは他の誰かに勝っている。次に必要なのは、扱う問いを一段だけ難しくすることだけだ。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
実例を最初から最後まで追う方が、原則を並べるより伝わる
金曜19時の電話から3か月後までを週数で追う。原則は物語の中に挟む形でしか出さない。数字は例示で、著者自身の事業の数字ではない。他のパターンが「主張→例」なのに対し、これは「例→主張」の順になる。
文字数2,672章数7段落62一文平均19.3字文長のばらつき9.4最長/最短47/6段落ばらつき27.31文だけの段落40%ですます0だ・である120体言止め11疑問1
「来月200万足りない」と電話が来た。売上は過去最高だった

金曜の夜に電話が鳴ることは、あまりない。


出たら知り合いの経営者だった。挨拶もなく「来月200万足りない」と言われた。


一瞬、意味が取れなかった。内装工事の会社で、月商は900万ある。前の期も黒字だった。半年前に会ったときは、職人をもう一人入れる話をしていたはずだ。


「売上は落ちてないですよね」と聞いた。


「落ちてない。むしろ今期いちばん多い」


通帳を見せてもらった


翌日、事務所で通帳を見せてもらった。


やったのは、卓上カレンダーに丸を付けることだけだ。入金の日に青、支払いの日に赤。1か月ぶん埋めた。


赤が先に来ていた。


材料の仕入れは翌月末払い。元請けからの入金は翌々月末。この2つがひと月ずれている。それだけのことだった。


彼が途中で聞いてきた。


「これ、来月もっと受注したらどうなりますか」


もっと足りなくなる、と答えた。


そこで彼が黙った。5秒か10秒くらい。あの沈黙は覚えている。売れば売るほど苦しくなる商売をしていた、と気づいた顔だった。


工事業では珍しくない。むしろ普通だと思う。ただ、普通だからといって耐えられるわけではない。


金はあった。どこにあるか分からなかっただけだ


もうひとつ分かったことがある。


その会社、金はあった。足りないと言っていた200万も、実は用意できなくはなかった。


口座が1つしかなかったのだ。


事業の入出金も、彼の生活費も、預かっている消費税も、来期の税金の準備も、全部そこに入っていた。残高は見える。ただ「そのうちいくらまで使っていいか」が誰にも分からない。


分からないから、動かない。動かないうちに支払日が近づく。近づくと焦る。焦って「足りない」と言う。


実際には足りていた。見えていなかっただけだ。


これは彼が悪いわけではない。創業から7年、ずっとこれでやってきて一度も困らなかった。売上が小さいうちは、勘で足りる。ある規模を超えたところで勘が効かなくなる。効かなくなった瞬間が、たまたま先週だった。


口座を分けるのに15分かかった


最初に頼んだのは、経理でも節税でもなかった。


口座をもう1つ作って、6か月分の固定費を移すこと。ネットバンキングで15分だ。銀行にも行っていない。


6か月という数字は適当に決めたわけではない。この業種で新しい元請けと取引を始めてから、初回の入金が着くまでの日数を数えるとそうなる。


紹介をもらってから見積を出すまでで、だいたい3週間。向こうの社内で通るまでが1か月前後。着工から完工まで1か月以上。検収が終わって締めが来るまで最大でひと月。そこから入金まで60日。


足すと5か月から7か月かかる。


つまり今日から新しい取引先を開拓し始めても、その金が口座に着くのは半年後になる。半年ぶんの体力がないと、そもそも開拓に手を出せない。金がないから売れない、売れないから金がない、という状態は、根性の問題ではなくてこれのことだ。


分けた翌週、彼が言った。


「あと2件までなら、先に材料出せますね」


金額は1円も増えていない。置き場所を変えただけだ。それでも言えることが変わった。


単価を上げようとして、一度失敗した


順調に進んだように書いてきたが、途中で明確に失敗している。


彼はまず、既存の保守的な契約の単価を上げにいった。やり方は「納品物を厚くする」だった。月次の報告書を3ページから12ページにして、写真とグラフを足した。


月3万円が3万5千円になった。作業は6時間増えた。時給で見ると下がっている。


このとき彼が聞いてきた言葉を、そのまま書いておく。


「じゃあ、丁寧にやっても意味ないってことですか」


意味はある。ただし、丁寧さは契約を切られないための投資であって、単価を上げる力はない。守りには効くが、攻めには効かない。ここを混同すると、一生「もっと頑張れば上がるはず」と思いながら時給が下がり続ける。


私も昔、同じところで2年ほど遠回りした。だから彼を笑えない。


報告書は翌月から4ページに戻した。客からは何も言われなかった。


単価が上がる案件と、上がらない案件


では何が単価を決めているのか。


手元にあった2つの契約を並べてみる。


ひとつは、月3万円の保守。作業は月に2時間か4時間。3年続いている。もうひとつは、経理担当が辞めた会社の月次処理を止めずに回す仕事。月38万円。作業は月20時間ほど。始めて1年になる。


技術的に難しいのは前者だ。後者はほぼ手作業で、特別な知識も要らない。それでも単価は12倍以上ある。


違いは1つしかなかった。


前者を切っても、客は困らない。少し不便になるだけだ。後者を切ったら、翌月の試算表が出ない。銀行に出す資料が出ない。融資の実行が止まる。


客が金を払っているのは、技術に対してではなく、止まるものの大きさに対してだ。


だから彼には、抱えている案件を全部紙に並べてもらった。そして各行の横に、一行ずつ書いてもらった。


「これが明日なくなったら、誰の仕事が誰に降ってくるか」


書けない案件がいくつも出た。書けた案件も、降る先が「担当者本人」ばかりだった。担当者に降る仕事の予算は、担当者の裁量枠から出る。だから数万円で止まる。経営者に降る仕事の予算は、人件費の枠から出る。桁が変わるのはそこだ。


2件切るのに3週間かかった


最後にやったのは、捨てることだった。


月3万円の保守を2件、こちらから解約を申し出た。売上は月6万円落ちた。空いた時間で、後者のような仕事を1件取った。差し引きで月32万円増えている。


ただ、彼が解約を決めるまでに3週間かかった。


計算自体は5分で終わっていた。解約した方が手残りが増えることは、その場で紙に出ている。残りの3週間は「せっかく取った客なのに」という感情の処理に使われた。


これは何年やっても速くならない。私も同じだ。数字が出ていることと、決められることは別の能力で、後者は年数では上達しない。


だから紙に書く。数字を紙に置いて、感情は口に出す。この2つを別の場所に分けるだけで、決断までの日数が半分になる。理屈は説明できないが、何度やってもそうなる。


3か月後に変わっていたのは、数字ではなかった


売上は月6万円落ちて、手残りは月32万円増えた。分けた口座には6か月分が積み上がった。


ただ、一番効いたのはそこではないと思っている。


彼が新規の商談で、施工実績の説明をやめた。代わりにこう聞くようになった。


「これが止まったら、御社では何が止まりますか」


答えられる相手とだけ話を進める。答えられない相手には、そもそも痛みがない。痛みのないところに高い金は出ない。


やったことを並べると3つしかない。口座を分ける。案件ごとに「誰の仕事が誰に降るか」を書く。降る先が担当者どまりの案件を切る。


新しい手法は使っていない。ソフトも入れていない。カレンダーとネットバンキングと、紙が1枚あれば終わる。


口座を分けるところだけなら、今日中にできる。


検証したい仮説
本人のコーパス20本を実測して作った文体で、本人の持論を書くとどうなるか
素材は本人の動画(売上は作るのではなく見つけるもの/思うように売上が伸びない理由)。他の9本とは前提が違う。文体は推測ではなく実測に基づく:一人称は僕、ですます基調、逆接は「ただ」、文末は〜わけです/〜んですよ/〜と思います/〜ですよねの4つ。他の9本は「だ・である/一人称は私/短文」で書いており、実測すると全部逆だったため、あれらは本人の文体ではない。
文字数3,718章数6段落54一文平均36.5字文長のばらつき20.2最長/最短82/3段落ばらつき44.91文だけの段落41%ですます62だ・である7体言止め1疑問4
強みの棚卸しから始めた人が、いつまでも売れない理由

副業を始めようとしたとき、まずは自分の強みを棚卸ししましょう、と言われたことはないでしょうか。


これまでの人生で誰かに褒められたことは何ですか、誰かに何かを教えた経験はありますか、みたいなことを聞かれて、ドキュメントの枠を埋めていく。埋め終わると、ああ、自分は無意識にこういうところに強みを持っていたんだな、という気分になれるやつです。


あれをやると、売上が伸びなくなります。正確に言うと、伸びないというより、無駄に大変になるんですよね。理由はシンプルで、順番が逆だからです。


逆じゃないですか、と思われるかもしれませんが、逆なんですよ。今日はその話をしていきます。


世の中のお金は、増えても減ってもいない


まず前提から入らせてください。売上というものの正体の話です。


会社員として働いているところを想像してもらうと分かりやすいと思うんですが、例えば毎月25日に、手取りで30万円が銀行口座に振り込まれるとします。その30万円を使って1か月間を生活して、また翌月の25日を待つ。ちゃんと働いてさえいれば、また30万円が振り込まれる。これがずっと繰り返されていくわけですね。


ここで大事なのは、その30万円が有限だということです。当たり前の話に聞こえると思うんですけど、この当たり前を本当に理解している人は、かなり少ないと僕は思っています。有限であるということは、どこかにお金を使えば、別のどこかには使えないということなんですよ。


例えば家を引っ越せば家賃の金額が変わりますし、今日は外食にするか自炊にするかで、その日の食費も変わってきます。外食をやめて自炊にして、そこで浮いた分でみんなでちょっと小旅行にでも行こうか、みたいなこともできるわけですよね。


このとき、その人が使っているお金の総額は変わっていません。項目が変わっているだけなんです。


人がやっているのは、支出の付け替えです。それしかやっていない。


だとすると、売上というのは何なのかというと、その付け替えの中の一部を、自分の事業にいただくということなんですよ。世の中に新しくお金を発生させているわけではなくて、すでに動いているお金の行き先を、自分のところに変えてもらっているだけなんですね。


ここが分かると、やるべきことが変わってきます。


すでにお金が流れている場所の、横に立つ


お金が付け替えられているだけなのであれば、一番簡単なのは、すでにお金が流れている場所を見つけて、その横に立つことです。


ゼロから作るより、すでに流れているものを分岐させる方が圧倒的に楽なんですよ。


例えば、朝に駅から会社へ向かう人の流れがありますよね。都内とか、ある程度の規模の都市であればよく見かける光景だと思うんですが、そういう道の途中には、だいたいコンビニがあります。そして朝のコンビニというのは、レジに行列ができていたりするわけですよ。


じゃあ、その人たちは何を買っているんでしょうか。


お昼ご飯を買っている人もいれば、朝のコーヒーを買っている人もいる。タバコを買う人もいる。色々います。ただ、そこをちゃんと見ていくと、例えば「朝にパンを買っている人がやたら多いな」とか「パンの棚だけすぐ空になっているな」ということが分かったりするわけです。


それが分かったら、コンビニと同じくらいの値段で、コンビニより美味しいパンを出す店を、その横に作ればいいわけです。


これ、売上が立たないと思いますか。立つんですよね。


もちろんコンビニからパンを買う人を全員引っ張ってこられるかというと、それはさすがに難しいと思います。ただ、美味しいパンが食べたいとか、そもそもパンが好きなんですという人を、一定数は引っ張ってこられるわけですよ。しかも、そういう人たちは「朝の出勤時にパンを買う」という習慣がすでにできているので、会社が休みでもない限り、平日の売上はある程度安定してくれるんですね。


安定してくれるということは収益の予測が立つということですし、予測が立つということは、経営の基盤としても安定しやすいということになります。全部が全部うまくいくとは言いませんし、これで成功が確実かというと、そんなことはないと思います。


ただ、事業としては相当やりやすいですよね。


売上は作るものではなくて、見つけるものだ、というのはこういう意味です。僕も便宜上「売上を作る」と言うことはありますが、実態としては見つけているだけなんですよ。


誰も気づいていないニーズ、を狙わない


ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。


自分がゼロから何かを発明して、誰も聞いたことのない未開拓のニーズを持った人を見つけて、その人に新商品を売っていく。こういうやり方は、僕は勧めません。


今の時代、これだけ物が溢れていて、だいたいの困りごとには既に何かしらの解決策が売られている状態です。その中で、誰も気づいていないニーズを見つけて当てるというのは、本当に一握りの天才にしかできないと僕は思っています。


そして、これから事業を始めようという人が、いきなりその天才枠を狙う理由はどこにもないんですよね。


すでにお金が流れているところを見つける。これで十分です。むしろこっちの方が確実です。


強みから始めると、詰む


ここまで読んでもらえれば、冒頭の話に戻れると思います。


なぜ強みの棚卸しから始めると売れないのか。


自分の武器を先に決めて、その武器が使える場所を探す、という順番になってしまうからです。


そうすると何が起きるかというと、まず視野が狭まります。自分の武器が使える範囲でしか探せなくなるので、当然そうなりますよね。そして狙える範囲も狭まった結果、最終的には需要があるかどうかも分からない市場にアプローチすることになって、かなり厳しい条件で勝負しなければならなくなるわけです。


しかももう一つ問題があって、自分が人生経験で得た武器というのは、たいていの場合そんなに大したものではないんですよ。


もちろん中には、とんでもなく希少性の高いスキルを身につけてきた方もいらっしゃると思います。使い方によっては、それこそ年商数億のところまで走っていける方もいるはずです。ただ、副業経験も事業経験もゼロの状態で、そういう武器を確実に持っているかというと、全員が全員そうだとは言い切れないんじゃないかなと思っています。


だから順番を逆にします。


先にお客様のニーズを見つける。どこで、誰が、どんなふうに困っているのかを調べる。漠然としたところからで構いません。例えばXで稼ぐ系の領域に入ってみたいということであれば、その市場では誰がどんなことで困っているんだろう、というのをまず研究するわけですね。


調べていて分からないことが出てきたら、そこで調べるし、そこで学ぶ。それでいいんですよ。


そしてニーズが見えたら、そのニーズを解消するには何をやればいいのかを、徹底的に突き詰めて研究していくわけですね。自分がいま持っていない武器を、お客様のために作り出して、それを売ればいいんですよ。これ、1か月もかからないと思います。


見るべきなのは「めんどくさい」


とはいえ、自分の知見がない領域でニーズを見つけるのは難しそうだ、と思われるかもしれません。


実際にはそんなに難しくないです。目をつけるべきは「めんどくさい」だからです。


最初はこれだけでいいと思います。


もちろん、これがなくて本当に困っているとか、こういう仕組みがあれば嬉しいとか、こうなっていればコストが下がるのに、といった深いところに入っていくのも手です。そっちの方が売上は伸びやすいですし、単価も上がります。ただ、いきなりそこを狙わなくてもいいんですよ。


めんどくさい、やれるけどやりたくない、この程度のことでも十分に課題になりえます。


なので、まずは世の中のどこがめんどくさいのかを、自分本位で構わないので書き出してみるところから始めるといいと思います。書き出したら、次はそのめんどくさいを、めんどくさいと思わずに解消できる方法をひたすら研究していくわけですね。


そして、ここが一番大事なんですけど、自分と同じくめんどくさいと思っている人が他にいるかどうかを調べることになります。


なぜかというと、いなかったら価値がないからです。自分しか困っていないことを解決しても、それに金を払う人がいない以上、商売にはならないんですよね。


この順番でやっていれば、思うように売上が伸びない、という状態はあまり起こらないんじゃないかなと思います。


才能の話にしない


最後に一つだけ。


売上を作るという行為は、僕は技術でしかないと思っています。ここにセンスとか天才性とかは要りません。


理由はシンプルで、変数が一つしかないからです。お客様をどれだけ深く理解しているか、それだけなんですよ。手段を選ばず徹底的に理解しに行けば誰でも売上は立てられますし、逆にどれだけ器用でも、どれだけ努力していても、お客様を理解していない状態でやっているうちは立ちません。


自分の強みの棚卸しというのは自分を理解する作業ですが、売上に必要なのはお客様を理解する作業です。別物なんですよね。


なので、いま伸び悩んでいるのだとしたら、それは能力の問題ではなくて、単に向いている方向の問題です。


まずは「めんどくさい」を10個書き出して、それを解決する方法を考えるだけでいいんですよね。めちゃくちゃ楽勝。


幸あれ