note 記事パターン検証

Leila Hormozi「Principles for Making Money」と Paula Pant「The most powerful way to think about money」を素材に、同じ内容を書き方だけ変えて書き分けたもの。画像は入れていない。文章だけで判断してほしい。上のタブで切り替え。数字は実測値で、オレンジは要注意(章数4未満、文長のばらつき18未満)。

検証したい仮説
これが「AIが素直に書いた記事」。比較の基準として置く
意図的に平均的に書いた。ですます統一、均等な段落、「〜ではないでしょうか」での留保、最後に箇条書きのまとめ。他のパターンはこれとの差分で判断してほしい。
文字数3,117章数12段落45一文平均36字文長のばらつき16.8最長/最短123/8段落ばらつき271文だけの段落16%ですます78だ・である6体言止め0疑問3
お金を稼ぐための原則について、海外の動画から学んだこと

お金を稼ぎたい。多くの方がそう考えていらっしゃると思います。しかし、実際にどうすればよいのかは分かりにくいものです。今回は海外の解説動画を参考に、お金と事業についての原則を整理してみました。


賢さは必要条件ではない


まず押さえておきたいのが、お金を稼ぐために特別な知性は必要ないという点です。ある起業家は、自分よりも明らかに能力が高いとは思えない人物が月4,000万円規模を稼いでいる場面に遭遇し、考え方が変わったと語っています。


重要なのはゲームのルールを理解することです。必要なのは、努力を続けること、忍耐を持つこと、そして常識的な判断ができることの3つだとされています。


むしろ知性が高すぎる人はリスクばかりが見えてしまい、機会を逃してしまう傾向があるという指摘もありました。これは興味深い視点ではないでしょうか。


貯金の役割を正しく理解する


次に、貯金についてです。貯金それ自体がお金を生むわけではありません。しかし、貯金には別の役割があります。それは、リスクを取るための安全性を確保することです。


実際にこの起業家は、事業で得た資金でまず借金を返済し、次に生活費をまかなえる資金を確保しました。それによって、その後に入ってくるお金をすべて事業投資に回せるようになったといいます。


つまり、貯金は「支出を抑えるため」ではなく「リスクを取れる状態を作るため」のものだと整理できます。


成果は一気に現れる


3つ目の原則は、成果の現れ方についてです。多くの場合、長期間まったく成果が出ない時期が続き、その後に一気に結果が出ます。


この起業家も、最初の2年間は利益が出ないどころか損失を出していたそうです。しかしその後、半年で7億円規模、2年半で27億円規模へと成長しました。


外部から見ると幸運に見えますが、実際にはその期間にスキルが蓄積されていたということになります。スキルは複利で効いてくるため、続けることが重要だと言えるでしょう。


第一原理から考える


もう1本の動画では、お金の考え方について別の角度から解説されていました。


それは、木にたとえた考え方です。根が価値観、幹が人生哲学、枝が戦略、葉が戦術や商品にあたります。多くの人は葉、つまり「どのアプリを使うべきか」「何に投資すべきか」から考え始めてしまいます。しかし本来は根から考えるべきだ、という指摘です。


また「あなたは何でも買えるが、すべては買えない」という言葉も紹介されていました。これはお金だけでなく、時間や集中力にも当てはまる考え方です。


他人の収入を気にしない


4つ目に紹介されていたのは、他人の収入を気にすることの弊害についてです。


ジムで他人のトレーニング回数を数えても自分の筋肉はつきません。同じように、他人の収入を数えても自分の収入は増えないという指摘です。


この起業家自身も、ある買収案件で相手の取り分が大きいことを指摘され、条件を変更した結果、交渉が決裂した経験があるそうです。その企業はその後大きく成長したとのことで、判断を誤ったと振り返っています。


自分にとって条件が合っているのであれば、相手の取り分は本来関係ないはずです。しかし、多くの人はここで感情的になってしまいます。本当に成功している人ほど、他人が儲かることを歓迎する傾向があるのかもしれません。


行動を変えることの重要性


5つ目は、信念と行動の関係についてです。


この起業家は、以前は「豊かさを信じれば豊かになれる」といった考え方の本を実践していたそうです。金持ちのように振る舞えばお金が来ると考え、寄付をしたり、食料品を人に譲ったりしていました。しかし状況は変わりませんでした。


そこで当時のパートナーから「お金は、それを作るために働く人を差別しない」と言われ、考え方が変わったとのことです。


信念を変えてから行動するのではなく、行動を変えれば信念は後からついてくる。この順序は覚えておいて損はないと思います。


恥を捨てて働くこと


6つ目は、労働に対する姿勢についてです。


お金がない状態であれば、どんな仕事も自分より下だと考えるべきではないという主張でした。実際にこの起業家も、ハイキングのガイドという仕事を経験しています。


その経験があったからこそ、次の機会につながったとも語られていました。機会に対して恥ずかしさを感じてしまう人は、それだけ機会を減らしているという見方もできそうです。


解く問題の難しさが報酬を決める


最後の原則は、報酬の大きさについてです。稼げる金額は、解決する問題の難しさに比例します。


例えばパーソナルトレーナーとして個人を指導する場合と、ジムの経営者に集客方法を教える場合、さらに経営者に売却可能な企業の作り方を教える場合とでは、報酬の桁が変わってきます。


これは自分の立ち位置を考える上で重要な視点だと思います。今どのレベルの問題を解いているのか、次にどのレベルへ移るのかを意識することが大切なのではないでしょうか。


能動的な収入が先である


7つ目は、収入の種類についての順序です。


「寝ている間にお金が入る仕組みを作りたい」と考える方は多いと思います。しかし、この起業家はまず能動的に稼ぐスキルを身につけるべきだと述べています。


実際に彼女は不動産投資を勧められて物件を購入しましたが、入居者の管理や管理会社との関係など想定外の業務が発生し、1年かけて手放すことになったそうです。損失は200万円ほどだったとのことです。


投資にも投資のスキルが必要であり、それは事業で稼ぐスキルとは別物です。ただし、事業のスキルは投資に応用しやすい一方、逆は難しいとされています。したがって、順序としては能動的な収入を先に確立するのが合理的だと言えるでしょう。


目的としてのお金と手段としてのお金


8つ目は、お金の位置づけについてです。


この起業家は最初の会社を売却した際、大きな金額が入金された瞬間に何も感じなかったと語っています。感じたのは安堵だけだったそうです。


そこで気づいたのが、お金は目的ではなく手段であるということでした。お金そのものが幸福をもたらすわけではなく、それを使って何を作るかが重要だという考え方です。


もっとも、これは十分に稼いだ方だからこそ言える面もあるかもしれません。段階に応じて受け止め方を変える必要がありそうです。


継続の重要性について


最後に、継続についても触れられていました。


多くの場合、成果が出るまでには長い時間がかかります。この起業家の場合も、最初の2年間はまったく利益が出ませんでした。しかしその後、急激に成長したそうです。


これはダニング・クルーガー効果とも関連しています。人は最初に自分の能力を過大評価し、実際に始めてから難しさに気づきます。そこで多くの人がやめてしまうわけですが、続けた人だけがスキルの蓄積による恩恵を受けられるという構造です。


スターバックスのハワード・シュルツ氏も、17年間にわたって会社から報酬を得られなかったという例が紹介されていました。


このように、成果が出るまでの期間を正しく見積もっておくことは重要だと言えるでしょう。3か月や半年で判断してしまうのは早計かもしれません。


まとめ


今回ご紹介した原則をまとめると、以下のようになります。


  • 賢さより、ルールの理解と継続
  • 貯金はリスクを取るための土台
  • 成果は長い停滞の後に一気に出る
  • 商品や手法ではなく価値観から考える
  • 報酬は問題の難しさで決まる


どれも当たり前のように見えますが、実践できている人は多くありません。まずは自分がどの段階にいるのかを確認することから始めてみてはいかがでしょうか。


なお、これらの原則はいずれも海外の事例に基づくものであり、日本の商習慣や税制とは異なる部分もあります。そのまま適用するのではなく、ご自身の状況に合わせて調整していくことが望ましいと言えるでしょう。


事業においては、焦らず着実に進めていくことが何よりも重要です。今回の内容が、皆様の判断の一助となれば幸いです。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
文末と文の長さを不揃いにすると人間らしくなる
一文だけの段落を混ぜ、文末をですます・である・体言止め・疑問でばらし、一文の長さを10字から80字まで振った。内容ではなく形だけで、どこまで印象が変わるかを見る。
文字数3,531章数7段落59一文平均20.5字文長のばらつき10.1最長/最短58/5段落ばらつき32.81文だけの段落17%ですます0だ・である147体言止め7疑問6
「信じれば叶う」で3年溶かす前に読んでほしい

稼げない人が読む本は、だいたい間違っている。


私も読んだ。引き寄せ、マインドセット、思考が現実になる、あのあたりだ。結論から言うと、あの手の本を読んでいた期間、私の口座残高は1円も動かなかった。動いたのは、本を買った分だけ減った。


今日はその話をする。海外の動画を2本見て、自分が言語化できていなかったことが綺麗に言われていたので、それを起点に。


信念を変えても口座は動かない


アメリカで事業をやっているある経営者が、まったく同じ回り道をしていた。


彼女は「金持ちのように振る舞えば金が来る」と書かれた本を真に受けて、スーパーの帰りにホームレスに食料品を全部渡した。寄付もした。数週間やった。何も起きなかった。当たり前だ。


そこに当時の恋人がこう言ったという。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


この一行で全部終わっている。私が3年かけて理解したことが、たった一行に収まっている。


信念は行動の結果として変わる。順番が逆なのだ。稼げると信じたから稼げるようになるのではない。稼いだから信じられるようになる。だから最初は信じられないまま手を動かすしかない。気持ち悪いが、そうなっている。


ここを勘違いさせる商品が、日本にはあまりにも多い。マインドを整える講座。潜在意識の書き換え。あれに使った時間は返ってこない。私は本気で、あれを売っている側より、買っている側の時間が惜しい。


頭の中にいる限り、あなたは死んでいる


「Stay in your head, you're dead」という言い回しが出てきた。頭の中に留まっている限り死んでいる、という意味だ。


耳が痛い。


私は上流の設計が得意で、下流を延々と回すのが苦手だ。だから放っておくと、いつまでも構想を練る側に居座る。事業計画は美しくなる。売上は増えない。


構想は、手を動かした量の分しか精度が上がらない。これは根性論ではなく、単純に情報が足りないからだ。客に会っていない人間の仮説は、客に会った人間の仮説に必ず負ける。100回考えても、1回聞いた人間に負ける。


だから私は今、自分に対してひとつだけルールを課している。考えた日は、必ずその日のうちに何か1つ外に出す。返信でもいい。見積もりでもいい。出さなかった日の思考は、なかったことにする。


「何でも買えるが、すべては買えない」


もう1本の動画は、金の考え方の話だった。こちらは静かで、いい内容だった。


軸になっているのは一行。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


旅行が大事なら旅行に金を使えばいい。家が大事なら家でいい。ただし「あれもこれも」は無理だ、という話。当たり前に聞こえるが、当たり前だと思っている人ほど守れていない。


そして重要なのはここからで、これは金だけの話ではないと彼女は言う。時間も、集中も、注意も、すべて有限資源として同じ構造をしている。人生そのものが最も有限な資源だ、と。


副業がうまくいかない人の相談を受けると、だいたいこれが原因だ。全部やろうとしている。物販もやりたい、発信もやりたい、投資もやりたい。金の配分は気にするのに、時間の配分は無限にあると思っている。


無限じゃない。むしろ金より先に尽きる。


葉っぱを握って根を探している


同じ動画で、木のたとえが出てくる。


  • 根 = 価値観。何が一番大事か
  • 幹 = 人生の方針。どういう生き方をしたいか
  • 枝 = 戦略。方針を目標に落とした上での道筋
  • 葉 = 戦術と商品。ツール、手法、具体的なやり方


そして、ほとんどの人は葉から質問を始める。「このアプリを使うべきですか」「仮想通貨は買うべきですか」と。


これを聞いたとき、自分の受けてきた相談の8割がこれだったと気づいた。「何の事業をやればいいですか」も葉だ。「今なら何が儲かりますか」は葉ですらない、落ち葉だ。


第一原理思考というのは、要するにこの根まで降りることを指す。降りるのは面倒くさい。答えがすぐ出ないし、誰も褒めてくれない。だから皆やらない。やらないから、みんな同じ葉っぱを握って同じところで詰まる。


私が事業を作り直したとき、最初にやったのはツール選定でも市場調査でもなかった。「自分は何なら10年やっても嫌にならないか」を書き出した。それだけで2週間使った。傍から見れば1円も生んでいない2週間だ。あれがなかったら今はない。


2年、何も起きない


もう1つ、動画の中で刺さった原則がある。


長い間まったく金にならず、ある日一気に来る。


彼女の最初の会社は、2年間まったく利益が出なかった。出ないどころか損失を出し続けた。そして2年経ったある時点から、半年で7億円規模、2年半で27億円規模になったという。


外から見た人間は「運が良かったね」と言う。中にいた人間は知っている。その2年でスキルが積み上がっただけだ。


ここで彼女はダニング・クルーガー効果を持ち出す。人は最初、自分の能力を過大評価する。過大評価しないと始められないからだ。始めると、思ったより難しくて自分が下手だと気づく。そこで大半がやめる。やめなかった人間だけが、積み上がったスキルの利息を受け取る。


スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から金を取れなかったそうだ。給料を払うために箱屋から借金したこともある。


この話を、日本で発信している人にこそ読んでほしい。


3か月やって伸びない、半年やって伸びない、と言って辞める人が多すぎる。断言するが、3か月で判断できるものは何もない。判断できるとしたら「客に一度も会っていない」ことくらいだ。


もちろん、続ければ必ず報われるとは言わない。それは嘘になる。方向が間違っていれば10年やっても同じところにいる。だから続けることと、方向を確かめることはセットだ。


方向の確かめ方は1つしかない。客に聞く。売れたか、売れなかったか。それ以外の指標は全部、自分を慰めるための数字だと思っている。


儲かる額は、解いた問題の難しさで決まる


最後にもう一度、1本目の動画に戻る。10個の原則のうち、最後がこれだった。


稼げる額は、解決する問題の難易度に比例する。


彼女自身のキャリアがそのまま例になっている。個人にダイエットを教える。次にジムに客を送る。次にジム経営者に集客を教える。次に売却できるジムの作り方を教える。次に売却できる会社の作り方を教える。


一段上がるたびに、桁が変わったという。


ここで大事なのは後半だ。彼女は「小さい問題を先に解いていなければ、大きい問題は解けなかった」とも言っている。順番は飛ばせない。


私はここに、日本で発信している人へ言いたいことがある。伸び悩んでいるなら、たいてい発信のやり方が悪いのではない。解いている問題が簡単すぎる。 誰でも答えられる問題に、誰よりうまく答えようとしている。それは消耗戦だ。


問題を難しくする方が早い。客が金を払ってでも避けたい痛みは何か。そこに一歩踏み込むだけで、競合はいなくなる。


一例を出す。「業務を効率化します」は簡単な問題だ。世の中に何千社もいる。「辞めた経理担当の代わりに、月次を止めずに回します」は難しい問題だ。競合は激減する。値段は数倍になる。同じ会社が同じ人手でやっていても、だ。


何が違うのか。前者は「あったら嬉しい」、後者は「なければ会社が止まる」。それだけ。


自分がどちらを売っているか。ここを一度、正直に確かめてほしい。


一段ずつしか上がれない


ただし、最後にひとつ釘を刺しておきたい。


問題を難しくしろと聞いて、いきなり一番難しい問題に飛ぶ人がいる。これは失敗する。彼女自身がはっきり言っている。小さい問題を解いていなければ、大きい問題は解けなかった、と。


順番はこうだ。個人にダイエットを教える。次にジムに客を送る。次にジム経営者に集客を教える。次に売れるジムの作り方を教える。次に売れる会社の作り方を教える。


一段ごとに桁が変わる。そして一段も飛ばせない。


なぜ飛ばせないか。難しい問題を解くには、簡単な問題を解いた時に手に入れた材料が要るからだ。現場を知らない人間のコンサルが薄っぺらいのは、この材料がないからだと私は思っている。


私も同じ道を通った。最初は自分で手を動かす仕事だった。効率も悪いし、単価も安い。そこで見た現場が、今の判断の全部の材料になっている。あの時期を飛ばしていたら、今の仕事は取れていない。


スケールしないことをやれ、というのはこういう意味だ。効率が悪いからやるのではない。そこにしかない情報を取りに行くためにやる。 効率化は、取り終わってからでいい。




2本とも、目新しいことは何も言っていない。全部どこかで聞いた話だ。


それでも書いたのは、この手の当たり前が、日本では「稼げる裏技」の下敷きになって見えなくなっているからだ。裏技を探している時間で、当たり前を1つ実行した人間が勝つ。毎回そうなっている。


明日から何をするか。1つだけ選ぶなら、今週会う客をあと1人増やすことだ。それ以上のことは、たぶんまだ必要ない。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
節ごとに賛成・反対を言い切ると要約に見えなくなる
各節の冒頭に「判定」を置き、使える/半分使える/使えない/保留を宣言してから理由を書く。日本の条件で成立するかを必ず自分で判定する。素材への態度を毎回明らかにする形。
文字数3,318章数9段落48一文平均22.2字文長のばらつき13最長/最短82/5段落ばらつき31.31文だけの段落0%ですます1だ・である125体言止め6疑問1
海外の「金持ちの原則」を、日本の中小企業で使えるかどうか全部判定した

海外の成功者が語る原則は、半分は日本でも使える。半分は使えない。使えない方を見分けないまま輸入すると、金と時間の両方を失う。


今回、アメリカで会社を作って売った経営者が語る「金の10原則」を見た。良い内容だった。ただし、そのまま日本の中小企業に持ち込めるかは別の話だ。1つずつ判定していく。私の結論を先に書いてから、理由を書く。


使える:「賢さは要らない」


判定: そのまま使える。むしろ日本の方が効く。


彼女は、自分より明らかに頭が良くない人物が月4,000万円規模を稼いでいるのを見て、価値観が変わったと言っている。必要なのは知性ではなく、ルールの理解と、努力と、忍耐と、常識だと。


これは正しい。私は十数年この業界にいるが、事業の成否と学歴・地頭の相関は、想像よりずっと弱い。むしろ賢い人ほど、リスクが全部見えてしまって動けなくなる。彼女もそう言っている。ここは完全に同意する。


日本ではさらに効く。理由は、日本の経営者の平均年齢が高く、デジタル領域が空いているからだ。難しいことをやらなくても、当たり前を早くやるだけで勝てる場所がまだ残っている。


ただし条件がある。「賢くなくていい」は「学ばなくていい」ではない。ここを取り違えると、単に勉強しない人になるだけだ。


半分使える:「貯金は金を生まないが、リスクを取る余裕をくれる」


判定: 考え方は正しい。金額の感覚は日本に合わない。


彼女は事業で得た金でまず借金を返し、次に生活防衛資金を作り、それから残りを全部投資に回した。会社を2つ立ち上げている。


考え方には全面的に賛成だ。貯金の目的は節約ではなく、判断を鈍らせないことにある。手元に半年分あるかないかで、同じ商談でも出せる条件が変わる。私はこれを何度も経験した。


ただし金額の桁が違う。彼女が「次の会社に入れた額」は、日本の中小企業の年商規模だ。そのまま真似はできない。


日本の読者が取るべき形はこうだ。生活費の6か月分を、事業の口座とは完全に分けた場所に置く。 それが終わるまで、事業への追加投資は最低限にする。派手ではないが、これがないと必ずどこかで足元を見られる。


使えない:「解く問題を難しくすれば稼げる」の運用方法


判定: 原理は正しい。日本でそのまま実行すると詰む。


原理はこうだ。稼げる額は、解く問題の難易度に比例する。彼女自身、個人指導 → ジムへの集客代行 → ジム経営者への指導 → 売却可能なジムの作り方 → 売却可能な会社の作り方、と一段ずつ上がるたびに桁が変わったという。


原理には同意する。私の事業もまったく同じ形で伸びた。


しかし日本でこれをやろうとすると、途中で壁がある。日本の中小企業は「売却」を出口として考えていない。 アメリカのように、経営者が最初から売る前提で会社を作る文化がない。だから「売却可能な会社の作り方」という商品は、日本では買い手が薄い。


代わりに日本で成立するのは、事業承継、補助金、そして人手不足の解消だ。同じ「難しい問題」でも、日本の経営者が金を払ってでも避けたい痛みは別のところにある。原理を輸入して、対象を差し替える。これが正しい使い方だと私は思う。


全面的に同意:「信念ではなく行動を変えろ」


判定: 100%同意。日本ではむしろ強調が足りない。


彼女は引き寄せ系の本を真に受けて、金持ちのように振る舞えば金が来ると信じ、食料品をホームレスに配ったり寄付をしたりしていた時期があるという。何も起きなかった。そこで当時の恋人にこう言われた。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


ここは一切留保なく賛成する。むしろ日本の方が事態は深刻だ。マインドセット講座、潜在意識、波動。あの市場は日本でよく育っている。


私が腹立たしいのは、売っている側ではなく、買った人が失う時間だ。3年ある。真剣にやれば、3年あれば小さくても回る事業が1つ作れる。それを内面の工事に使わせるのは、控えめに言って加害だと思っている。


行動を変えれば信念は後からついてくる。逆はない。順番の話であって、精神論ではない。


保留:「起きている間に稼いでから、寝ている間に稼げ」


判定: 正しいが、日本の税制では順番が変わる場合がある。


彼女は、不動産で不労所得を得ようとして失敗した話をしている。入居者対応、管理会社の解約、責任の所在。結局1年かけて手放し、200万円ほど損をした。だから「まず起きている間に稼ぐスキルを付けろ」と言う。


ここは大筋で同意する。投資は投資でスキルが要る。事業で稼ぐスキルは投資に転用できるが、逆は難しい。順序としては正しい。


ただし日本には、法人を持っている場合に限り話が変わる領域がある。役員報酬の設計、決算期の選び方、設備投資の時期。これらは「寝ている間の話」ではないが、事業の稼ぎと同じくらい手残りを左右する。ここは彼女の話には出てこない。日本固有の論点なので、別途書く。


使える:「他人の金を数えても増えない」


判定: そのまま使える。日本では特に効く。


彼女は、ある買収案件で相手が500億円規模を得る条件だったことを幹部に指摘され、「不公平だ」と言われて条件を吊り上げた。結果、話は流れた。その会社はその後4年で10倍の価値になったという。彼女は率直に「あれは判断ミスだった」と認めている。


自分にとって条件が合っているなら、相手がいくら得るかは関係ない。当たり前だが、これができない。


日本ではこれが特に効くと思っている。理由は、値引き交渉が美徳とされる商習慣が残っているからだ。相手の取り分を削ることに使った時間は、自分の売上を1円も増やさない。しかも次から呼ばれなくなる。


私が取引先を選ぶ基準はひとつある。双方が「自分の方が得をした」と思っている取引かどうか。 そう思える相手とだけ長く続いている。例外はない。


SNSを見ていて、自分より稼いでいる人を見ると腹が立つ。という状態にある人は、ミュートした方がいい。感情の問題ではなく、単に時間の使い道として損だからだ。


半分使える:「金が目的なら永遠に足りない」


判定: 正しい。ただし読者の段階によっては有害。


彼女は最初の会社を売却して大金が入った瞬間、何も感じなかったと言っている。感じたのは安堵だけ。そこで「金は目的ではなく道具だ」と気づき、翌日には次の会社を始めた。


言っていることは正しい。金それ自体は何も解決しない。私も同意する。


ただし、これを言っていい相手は限られる。すでに稼いだ人が言うから成立する話であって、これから稼ぐ人が真に受けると、目標を持つことに罪悪感を覚えるだけになる。


日本の発信で一番よく見る事故がこれだ。「お金じゃないんですよ」を、月商が立っていない人が言い始める。あれは思考停止の別名になっている。


私の立場を書いておく。まず稼げ。話はそれからだ。 稼いだ後に「金じゃなかった」と気づくのは健全だが、稼ぐ前に気づくのはただの逃避だと思っている。厳しく聞こえるかもしれないが、逆をやって時間を失う人を何人も見てきた。


使えない:「恥を捨てて何でもやれ」の一部


判定: 精神は同意。ただし日本では選別が要る。


彼女は、金がないなら恥もない、下働きを厭うなと言う。ハイキングのガイドをしていた頃の話が出てくる。相手に「君みたいな人がいてくれて助かる」と言われて、内心「俺はいつかあんたより稼ぐ」と思った、と。


この精神には同意する。プライドが金を生んだ例を私は知らない。


だが日本でそのまま実行すると危険な領域がある。何でもやる、が「グレーな案件でもやる」に滑る。 これが本当に多い。単価の高い怪しい仕事は、必ず向こうから来る。断れなかった人が、数年後に消えている。


線の引き方を書いておく。金額ではなく、その仕事を家族に説明できるかどうかで決める。説明できないなら受けない。それだけで9割の事故は防げる。


下働きはやっていい。倫理から外れる仕事は、いくら積まれてもやらない。ここは混ぜてはいけない。


結局どうするか


8つ見て、そのまま使えるのが3つ、条件付きが3つ、要注意が2つだった。打率としては悪くない。海外のビジネスコンテンツで、日本にそのまま持ち込めるのが3割強あれば十分に見る価値がある。


海外のコンテンツを見るときに私がやっているのは、この判定を必ず自分で通すことだ。良いことを言っているかどうかではなく、自分の条件で成立するかどうかを見る。翻訳しただけの情報は、情報として不完全だ。


そして最後にもう一度書いておく。この記事にも、あなたの状況に合わない部分が必ずある。読んで納得しただけでは何も変わらない。今週、客に1人会ってください。それだけが確実に効く。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
固有の場面・数字・見積書レベルの具体があると、書いた人間の実在が伝わる
抽象語を使ったら必ずその場で具体例に落とす。金曜19時の電話、月額3万円と38万円の対比、入金までの5工程の日数。一般論を1行も書かないことを目標にした。数字は例示であり、著者自身の事業の数字は出していない。
文字数3,138章数6段落61一文平均24.2字文長のばらつき18.1最長/最短130/4段落ばらつき25.81文だけの段落20%ですます0だ・である102体言止め9疑問0
月商30万円で止まる人と、そこから抜ける人の差は「置き場所」だけだった

先月、知り合いの経営者から電話がかかってきた。金曜の19時だった。


「来月の支払いが200万足りない」


彼の会社は月商900万円ある。利益も出ている。それでも金が足りない。理由は単純で、売掛の入金が翌々月末で、仕入れの支払いが翌月末だからだ。売れば売るほど、手元の金は先に出ていく。


事業が伸びている最中に潰れる会社は、だいたいこれで潰れる。赤字ではなく、黒字で潰れる。


今日はその話をする。海外の動画を2本見ていて、まさにこの構造を言い当てている箇所があったので、そこから書く。


「貯金は金を生まない」の、その先


アメリカで会社を作って売った経営者が、貯金についてこう言っている。


貯金では金持ちにはなれない。だが、リスクを取る余裕をくれる


彼女は最初に事業で金が入ったとき、順番を決めていた。1つ目、借金を全額返す。2つ目、何が起きても生活と支払いを維持できる額を、別の場所に置く。3つ目、そこから先に入ってくる金は全部、次の事業に入れる。


この3番目ができたのは、2番目が終わっていたからだ。彼女はそう言っている。実際にその後、2つの会社を立ち上げている。


ここで大事なのは金額ではなく置き場所だ。


冒頭の彼の会社には、実は現金があった。ただし全部が事業用の口座に入っていて、日々の入出金と混ざっていた。だから「いくらまでなら使えるか」が誰にも分からなかった。分からないから、動くべき時に動けない。


私が最初に頼んだのは、経理でも節税でもない。口座を2つに分けることだった。


  • A口座:事業の入出金。ここは減っても増えても気にしない
  • B口座:6か月分の固定費。ここには絶対に手を付けない


分けた翌週、彼は初めて「あと2件までなら先行投資できる」と自分で言えるようになった。金額は1円も増えていない。置き場所を変えただけだ。


6か月分、という数字の根拠


「6か月分」と言うと、根拠を聞かれる。答えは単純で、日本の中小企業が新しい取引先から初回入金を受けるまでに、平均してそれくらいかかるからだ。


流れを書き出すとこうなる。


  1. 初回の商談から見積提出まで:2〜4週間
  2. 見積から稟議・決裁まで:3〜8週間
  3. 発注から納品まで:4週間以上
  4. 検収から支払いサイトの締めまで:最大1か月
  5. 締めてから入金まで:30日〜60日


足すと、早くて4か月、遅いと7か月かかる。


つまり今日から営業を始めて、最初の入金が口座に着くのは半年後になる可能性がある。この期間を持ちこたえられる金がないと、営業活動そのものができない。金がないから売れない、売れないから金がない、の輪に入る。


副業から始める人がよく失敗するのもここだ。「初月から回収できる商売」を選ぼうとする。その結果、単価の安い、代替の効く仕事しか選べなくなる。


解いている問題が簡単すぎる


もう1つ、同じ動画の最後にこういう原則があった。


稼げる額は、解決する問題の難しさに比例する


これは抽象的に聞こえるが、見積書を並べると一瞬で分かる。


私の手元にある実例で言う。同じ会社が、同じ技術で、違う売り方をしている2つの案件がある。


案件A:業務システムの保守月額3万円。作業は月2〜4時間。何かあれば直す。3年目。


案件B:経理担当が辞めた会社の月次締めを止めずに回す月額38万円。作業は月20時間程度。1年目。


技術的な難易度はAの方が高い。Bはほぼ手作業だ。それでも単価は12倍以上ある。


差は1点だけ。Aは「あったら助かる」で、Bは「なければ会社が止まる」。


Aを解約しても、その会社は困らない。少し不便になるだけだ。Bを解約したら、その会社は翌月の決算が出せない。銀行に出す資料が出せない。融資が止まる。


客が金を払っているのは、技術ではなく痛みの大きさに対してだ。


自分の商品がAとBのどちらかを判定する方法を書いておく。「これが今日から無くなったら、客の会社で何が止まるか」を紙に書く。3行以上書けなければA、1行でも「止まる」と書けたらB。


難しい問題は、簡単な問題の後ろにしかない


ただし、ここで飛び級を狙うと失敗する。


さっきの動画の彼女は、こういう順序で登ってきたと言っている。


  1. 個人にダイエットを教える
  2. ジムに客を送る
  3. ジム経営者に集客のやり方を教える
  4. 売却できるジムの作り方を教える
  5. 売却できる会社の作り方を教える


一段上がるたびに桁が変わり、そして一段も飛ばせなかった、と。


理由は明快だ。3を教えるには、1と2で現場を見た材料が要る。材料のないコンサルティングは、抽象論しか出てこない。買った側はすぐ気づく。


案件Bを取れたのも同じ理由だった。あの会社の月次を回せたのは、以前に別の会社で伝票を1枚ずつ入力する仕事をやっていたからだ。どこで詰まるか、誰が何を止めるか、体で知っていた。当時は単価が安くて、正直やりたくない仕事だった。


効率が悪い仕事は、情報を取りに行くためにやる。


これがスケールしないことをやれ、の中身だと私は理解している。効率化は、取り終わってからで間に合う。順番を逆にした人が一番多く消えていく。


単価を上げる前に、単価が上がらない理由を1行で書く


案件Aと案件Bの差を、もう少し分解しておく。単価を上げたい人が一番間違えるところなので。


多くの人は、単価を上げるために「品質を上げよう」とする。納品物を厚くする。レポートのページ数を増やす。対応を早くする。


これは効かない。案件Aで納品書を30ページにしても、月3万円は3万5千円にしかならない。私は実際に試したことがある。5千円上がって、作業時間が6時間増えた。時給は下がった。


効くのは、客の中で「誰の仕事が消えるか」を変えることだ。


  • 案件A:担当者の作業が少し楽になる → 予算は担当者の裁量枠から出る(数万円)
  • 案件B:社員一人分の穴が埋まる → 予算は人件費の枠から出る(数十万円)


金の出どころが違う。出どころが変われば桁が変わる。品質は関係ない。


判定用に1行だけ書いてみてほしい。


「これが無くなると、誰の仕事が誰に降ってくるか」


降ってくる先が「担当者本人」なら、単価は上がらない。降ってくる先が「経営者」なら、上がる。経営者に降る仕事は、経営者が金を払ってでも避けたい仕事だからだ。


ここまで分解すれば、明日から見積の書き方が変わる。技術の説明を減らして、止まるものの説明を増やす。それだけでいい。


木の根から降りる


もう1本、別の動画も見た。こちらは静かな内容で、金の考え方を木にたとえていた。


  • 根:価値観。何が一番大事か
  • 幹:どう生きたいか
  • 枝:目標と戦略
  • 葉:戦術、手法、商品


そして、ほとんどの人は葉から質問を始める、と彼女は言う。「このアプリを使うべきですか」「仮想通貨は買うべきですか」と。


これを聞いて、自分が受けた相談の内訳を思い返した。ざっと8割が葉の質問だった。「今なら何が儲かりますか」に至っては、落ち葉を拾っている。


もう一行、同じ動画から引く。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


金だけの話ではないと彼女は続ける。時間も、集中も、注意も同じ構造をしている。人生そのものが最も有限な資源だ、と。


金の配分表は作るのに、時間の配分表を作る人はほとんどいない。作ってみると、たいてい破綻している。物販もやり、発信もやり、投資も勉強し、本業もある。破綻して当然だ。


冒頭の彼は結局、案件Aの保守契約を2件解約した。売上は月6万円落ちた。空いた時間で案件Bのような仕事を1件取った。差し引きで月32万円増えた。


やったことは、置き場所を変えて、捨てるものを決めただけだ。新しい手法は1つも使っていない。


今週やることを1つ選ぶなら、口座を2つに分けることを勧める。銀行に行く必要もない。ネットバンキングで15分あれば終わる。


それが終わったら、いま抱えている案件を紙に並べて、それぞれの横に「無くなったら誰の仕事が誰に降るか」を1行ずつ書く。書けない案件が、いま単価が上がらない案件だ。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
何を憎むかを言い切ると人格が立ち、読者が著者を信用する
AI全自動・引き寄せ・MLM的アフィリを名指しで否定する。ただし批判で終わらせず、否定の根拠を構造で示し、最後に代案と希望を置く。強い否定が読後感を悪くしないかを見る。
文字数3,033章数7段落62一文平均20.9字文長のばらつき12.1最長/最短73/3段落ばらつき24.91文だけの段落16%ですます1だ・である126体言止め1疑問3
「AIで全自動、寝てても月100万」を追いかけて失うのは金ではなく3年です

はっきり書く。


AIで全自動、不労所得、ワンクリック、コピペで月100万。この手の商品を追いかけている間、あなたは1円も稼げない。それだけならまだいい。最も高くつくのは、そこで溶かした時間だ。


金は取り返せる。3年は取り返せない。


私はこの手の話を批判するのがあまり好きではない。批判している間も何も生まれないからだ。それでも今日書くのは、この構造を言い当てている海外の動画を見て、自分の中で整理がついたからだ。


「引き寄せ」で数か月を捨てた人の話


アメリカで会社を作って売った経営者が、自分の失敗をこう語っている。


彼女は稼げなかった時期、「金持ちのように振る舞えば金が来る」と書かれた本を真に受けた。豊かに振る舞う練習として、スーパーの帰りに買った食料品をホームレスに全部渡した。寄付もした。数週間続けた。


何も起きなかった。


そこに当時の恋人が一言、こう言ったという。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


彼女はこの一行で目が覚めたと言っている。信じているかどうかは関係ない。やったかどうかしか関係ない、と。


私が言いたいのはここだ。内面をいじる作業には、終わりがない。


売上が立たない → マインドが原因だと言われる → マインドを整える → まだ立たない → もっと深いブロックがあると言われる → さらに整える。この輪は構造上、抜けられない。抜けられない商品設計になっている。


そして輪の中にいる間、客に一度も会っていない。


「全自動で稼ぐ」が成立しない理由は、精神論ではない


不労所得の話も同じ動画に出てくる。


彼女は「寝ている間に稼げ」と勧められて不動産を買った。結果はこうだ。入居者の対応が来る。管理会社が契約を切ってくる。設備の責任は自分に来る。1年かけて手放し、200万円ほど損をした。


そして彼女はこう結論づけている。


投資も、投資というスキルが要る。何も要らない収入は存在しない


これは精神論ではなく、単純な事実の指摘だ。自動化された仕組みは、自動化する作業を誰かがやっている。その誰かがあなたでないなら、あなたはその仕組みを買っているだけで、作ってはいない。


買った仕組みは、市場が変われば死ぬ。作った人は次を作れる。買った人は次を買いに行く。だから永遠に買い続ける。


「全自動」を売っている人が、なぜ全自動で稼がずに、全自動の売り方を売っているのか。 ここを一度だけ真剣に考えてほしい。答えは出ている。


MLM的なアフィリエイトを勧めない理由


紹介報酬で人を増やしていく形の商売についても書いておく。


倫理的にどうか、という話をしたいのではない。もっと手前の、事業として成立するかという話だ。


事業には必ず、金を払う客がいる。客が商品を使って、その対価として金を出す。この一本の線があって初めて事業になる。


紹介報酬の階層が深い商売では、この線が細くなる。参加者の収入の大半が「新しく入った人が払った金」から来る場合、それは商品を売っているのではなく、参加権を売っている。参加者が増えなくなった瞬間に止まる。


止まる時期は選べない。市場に人が残っているかどうかで決まる。自分の努力と、結果が連動しない。 私が事業として勧めない理由はこれに尽きる。


努力が結果に連動しない場所に、努力を注いではいけない。どれだけ真面目にやっても、真面目さが報われない設計になっている。


「情報発信に限界を感じている」人へ


もう1つ、この構造にはまりやすい場所がある。情報発信だ。


毎日投稿している。数字は伸びない。もっと頻度を上げろと言われる。上げる。伸びない。今度は型が悪いと言われる。型を学ぶ講座を買う。伸びない。


私はこの流れを何度も見てきた。そして原因は、ほぼ毎回同じところにある。


発信のやり方が悪いのではない。話している内容が簡単すぎる。


誰でも答えられる問いに、誰よりうまく答えようとしている。それは消耗戦で、勝てるのは一日中それをやれる人だけだ。頻度でも型でも、この構造は覆らない。


さっきの動画にあった原則を、発信に置き換えるとこうなる。


読まれる量は、扱っている問いの難しさに比例する


「副業の始め方」は簡単な問い。10万人が同じことを書いている。「経理担当が突然辞めた会社が、翌月の決算をどう乗り切るか」は難しい問い。書ける人はほとんどいない。


後者は読者が少ない。だが、読んだ人は金を払う。前者は読者が多い。だが誰も金を払わない。


伸び悩んでいるなら、投稿を増やす前に、扱う問いを1段難しくしてほしい。減った読者の質が変わる。それで十分に元が取れる。


では何をやればいいのか


否定だけして終わるのは無責任なので、私が実際に人に勧めていることを書く。3つある。


1. 目の前の一人に、手作業で売る


効率は最悪でいい。仕組み化もしなくていい。まず一人に、自分の手で売る。売れなかったら理由を聞く。これを10人繰り返す。


10人に聞いた人間の仮説は、100時間考えた人間の仮説に必ず勝つ。例外を見たことがない。


2. 客が「なければ止まる」と言うものを探す


さっきの動画に、稼げる額は解く問題の難しさに比例する、という原則があった。これは正しい。


判定は簡単だ。あなたの商品が明日から無くなったとき、客の会社で何かが止まるか。止まらないなら、値段は上がらない。止まるなら、値段は言い値になる。


「あったら便利」を磨いても、単価は上がらない。磨く方向が違う。


3. 2年、成果が出ない前提で計画する


同じ動画で、彼女の最初の会社は2年間まったく利益が出なかったと言っていた。損失を出し続けた。そして2年後、半年で7億円規模になった。


スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から金を取れなかったという。給料を払うために取引先から借りたこともあるらしい。


これを読んで「自分には無理だ」と思う必要はない。逆だ。2年かかるものだと最初から知っていれば、3か月で辞めなくて済む。


多くの人は、3か月で判断できると思っているから辞める。3か月で判断できることは何もない。せいぜい「まだ客に会っていない」ことが分かるくらいだ。


見分け方を1つだけ渡しておく


とはいえ、世の中には正当な教材もある。全部を疑えと言いたいわけではない。


見分ける基準を1つだけ書く。私が使っているものだ。


その商品は、買った人が実際に作業する前提になっているか。


正当な教材は、必ず読者に作業を要求する。「客に10人会え」「見積を書き直せ」「数字を並べろ」と。面倒で、地味で、時間がかかる作業だ。


危ない商品は、作業を要求しない。代わりに「仕組みが働きます」「AIが勝手にやります」「意識が変われば結果が変わります」と言う。


前者は退屈で、後者は魅力的に見える。だから後者が売れる。売れた分だけ、買った人の時間が消えていく。


判断に迷ったら、販売ページで「あなたがやること」を探してほしい。書いていない商品は、たいてい買わなくていい。


希望の話をして終わる


ここまで厳しいことばかり書いたので、最後に希望の話をする。


近道がない、というのは悪い知らせに聞こえる。だが同時に、これは最高の知らせでもある。


近道があるなら、金と情報を持っている人間が全部先に通っている。あなたの番は回ってこない。近道がないということは、時間をかけた人間が確実に前に行くということだ。


そしてもう一つ。この構造を知っている人は、実は少ない。多くの人が近道を探しているうちに脱落していく。当たり前を2年続けるだけで、気づくと周りに誰もいなくなっている。


私が知っている「うまくいった人」に、例外的に賢い人はいない。全員、当たり前のことを、他の人が飽きた後も続けていただけだ。


今週やることを1つだけ選ぶなら、客に1人会うことです。それ以上のことは、たぶんまだ必要ない。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
脱線し、回収せず、素材に反論すると「書いている人」が立ち上がる
「関係ない話をひとつ」と明示して逸れ、戻る。素材の主張に一箇所だけ反対し、ずれたまま置く。最後に「まとまらないので次回にする」と未完で終える。きれいに閉じないことの効果を見る。整いすぎた構成こそAIの特徴、という仮説。
文字数3,113章数7段落57一文平均21.9字文長のばらつき12最長/最短88/3段落ばらつき30.11文だけの段落18%ですます0だ・である126体言止め4疑問3
稼げなかった頃の自分に、いま何を言うか考えていた

夜中に子供が起きて、寝かしつけてから眠れなくなった。それで海外の動画を2本続けて見た。金の話だった。


見ながら、稼げなかった頃の自分に何を言うだろうかと考えていた。今日はその順番で書く。整理された話にはならないと思う。


「金持ちのように振る舞え」で数か月消した話


1本目に出てきたアメリカの経営者が、自分の恥ずかしい話をしていた。


彼女は稼げない時期、金持ちのように振る舞えば金が来ると書かれた本を真に受けた。スーパーの帰りに買った食料品をホームレスに全部渡した。寄付もした。数週間続けたが、何も起きなかった。


そこに当時の恋人が言ったという。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


これを聞いて、自分もまったく同じことをやっていたのを思い出した。


私の場合は本ではなくセミナーだった。地方のホテルの会議室で、朝から夕方まで、自分の思い込みを書き出す作業をやった。参加費は覚えていないが、往復の交通費を含めるとそこそこの額だった。


書き出した紙は今もどこかにあるはずだ。あの日書いた「制限的な思い込み」を、私は一つも覚えていない。覚えているのは、帰りの電車で妙にすっきりした気分になったことだけだ。


すっきりしただけで終わった。


あの感覚が一番危ないと今は思っている。何かをやった気になる。前進した気になる。翌週になると元に戻っている。そして戻ったことを、また内面のせいにする。輪が閉じる。


順番の話をしたい


だから稼げなかった頃の自分に言うことがあるとすれば、まず順番の話をする。


信念が変わってから行動が変わるのではない。行動が変わってから信念が変わる。これは精神論ではなく、単に情報の入り方の問題だ。


売れると信じられないのは、売れた経験がないからだ。だから信じられないまま売ればいい。1件売れると、翌日から世界の見え方が変わる。10件売れると、もう疑いようがなくなる。順番が逆なだけで、多くの人が何年も足踏みしている。


彼女も動画の中で似たことを言っていた。自分は一度も「億を稼げる」と信じたことがなかった、ただ稼げる人がやっている行動を真似しただけだ、と。


これは、希望のある話だと思う。


信じられない人でも稼げる。むしろ、信じられないまま手を動かした人の方が、早く着く。


関係ない話をひとつ


ここで少し逸れる。


その動画の中で、彼女が不動産を買って失敗した話が出てくる。不労所得を作ろうとして、入居者対応も管理会社の解約も全部自分に降ってきて、1年かけて手放した。200万円ほど損をしたと言っていた。


私が引っかかったのは損の額ではなく、彼女が「property management companies could drop your account」と言っていた部分だった。管理会社の側から契約を切られることを知らなかった、と。


これは日本でも同じで、しかも語られない。管理会社は儲からない物件から順に切っていく。切られた瞬間に、投資が労働に変わる。


この話は今日の本題とは関係ない。ただ、こういう「知らなかったことが一番高くつく」という構造は、事業でも投資でも同じ形で出てくる。だから書いておく。


戻る。


木の話が良かった


2本目は別の人の動画で、静かな内容だった。金の考え方を木にたとえていた。


根が価値観。幹が生き方。枝が目標と戦略。葉が戦術と商品。


そして、ほとんどの人は葉から質問を始めるという。どのアプリを使うべきか。何に投資すべきか。


これを聞いて、自分が受けてきた相談の内訳を思い返した。ほとんど葉だった。


ただ、この話には続きがある。彼女は「根から始めろ」と言っているが、私は少し違う考えを持っている。


根は、葉を何枚か触ってからでないと降りられない。


価値観が何かなんて、20代の頃に聞かれても答えられなかった。答えられるようになったのは、いくつか事業をやって、向いていないものを実際にやってみた後だ。「これは嫌だ」を10個集めて、ようやく「じゃあ何が好きなのか」の輪郭が出てくる。


だから順番としては、葉を触る → 根を探す → 根から枝を組み直す、が現実的だと思っている。最初から根に降りようとすると、たいてい降りられずに固まる。


ここは彼女の主張とずれる。ずれたまま書いておく。どちらが正しいかは、読んだ人が自分で決めればいい。


「何でも買えるが、すべては買えない」


同じ動画に、こういう一行があった。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


旅行が大事なら旅行に金を使えばいい。ただし「あれもこれも」は無理だ、という話だった。


そして重要なのは、これが金だけの話ではないという指摘だ。時間も、集中も、注意も、同じように有限だと彼女は言う。


金の家計簿を付ける人は多い。時間の家計簿を付ける人はほとんどいない。付けてみると、たいてい破綻している。


私も一度やった。1週間、30分単位で何に使ったかを書き出した。結果を見て、事業のことを考えている時間が想像の3分の1しかないことが分かった。残りは全部、連絡と移動と、判断の先送りに使われていた。


あれは効いた。今でも半年に一度やる。


やり方は単純で、スマホのメモに時刻と内容を打つだけでいい。集計もしなくていい。書き出した時点で、たいてい見たくないものが見える。


2年、何も起きない話


もう一つ、1本目の動画で手が止まった箇所がある。


彼女の最初の会社は、2年間まったく利益が出なかった。出ないどころか、損失を出し続けたという。そして2年経ったあたりから、半年で7億円規模、2年半で27億円規模になった。


外から見た人は「運が良かった」と言う。中にいた人間は、2年でスキルが積み上がっただけだと知っている。


彼女はここでダニング・クルーガー効果を持ち出していた。人は最初に自分の能力を過大評価する。過大評価しないと始められないからだ。始めてみると想像より難しくて、自分が下手だと気づく。そこで大半がやめる。


スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から報酬を取れなかったらしい。給料を払うために取引先から金を借りたこともあると言っていた。17年は長い。


この手の話を聞くと、たいてい二つに割れる。「そんなに待てない」と思う人と、「2年でいいのか」と思う人だ。


私は後者だった。というより、後者になったのは3回目くらいからだ。最初の頃は、3か月で数字が動かないと不安で仕方がなかった。毎日アクセス解析を開いていた。開いても何も変わらないと分かっているのに開いていた。


あれをやめたきっかけは、単純に忙しくなったからだった。見る暇がなくなって、3週間ぶりに開いたら数字が伸びていた。それだけの話だ。教訓めいたことを言うつもりはない。ただ、見ている間は伸びなかったという事実だけがある。


ただし、続ければ必ず報われるとは書かない。それは嘘になる。方向が間違っていれば、10年やっても同じところにいる。私も一つ、5年かけて畳んだ事業がある。あれは続けたことが間違いだった。


続けることと、方向を確かめることはセットで要る。片方だけでは足りない。


方向の確かめ方は一つしかないと思っている。客に聞く。売れたか、売れなかったか。それ以外の指標は、全部あとから自分を慰めるための数字だ。私はそう扱っている。


結局、何を言うか


長くなった。稼げなかった頃の自分に一つだけ言えるなら、たぶんこう言う。


今週、客に会え。


考えるのは会った後でいい。本を読むのも、講座を取るのも、思い込みを書き出すのも、全部会った後でいい。会う前にやったことは、ほぼ全部無駄になった。


もっと言うと、会うのが怖いから他のことをやっていた。断られるのが怖かった。あの数か月は、怖さを別の作業で薄めていただけだ。


そこまで自覚できたのは、だいぶ後になってからだった。


今日はここで終わる。書きながら思い出したことがもう一つあるが、うまくまとまらないので次回にする。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
章を減らし、1論点を深掘りする方が、多論点の網羅より強い
章を5つに絞り、1章あたりを長くした。箇条書きを使わず地の文で押す。扱う論点は「解いている問題が簡単すぎる」の一点のみ。他のパターンが素材の複数の主張を並べるのに対し、これは1つを掘る。スクロールが続くかを見たい。
文字数4,109章数5段落35一文平均23.6字文長のばらつき11.1最長/最短53/4段落ばらつき47.41文だけの段落3%ですます0だ・である154体言止め1疑問5
事業が伸びない理由は、たいてい「解いている問題が簡単すぎる」に集約される

努力しているのに稼げない、という相談を受けることがある。話を聞くと、本当に努力している。毎日投稿し、毎日勉強し、休みも取っていない。それでも数字が動かない。


原因はほとんどの場合、努力の量ではない。方向でもない。解いている問題が簡単すぎることだ。


今回、金の稼ぎ方について語る海外の動画を2本見た。1本はアメリカで会社を作って売った経営者の話、もう1本は個人の資産形成を扱う人の話だった。方向性はまるで違うのに、根のところで同じことを言っていた。それを軸に、この「問題の難しさ」という一点だけを深く書く。


報酬は難易度に比例するという、身も蓋もない話


1本目の動画は10個の原則を並べる構成で、最後に置かれていたのがこれだった。稼げる額は、解決する問題の難しさに比例する。


彼女自身のキャリアが、そのまま例になっている。最初は個人にダイエットを教えていた。次にジムに客を送る仕事に移った。次にジムの経営者に集客のやり方を教えるようになった。次に売却できるジムの作り方を教えるようになり、最後に売却できる会社の作り方を教えるようになった。一段上がるたびに、報酬の桁が変わったという。


彼女はもう一つ例を挙げていた。知り合いがSMSチャットのソフトウェア会社をやっていて、そこそこ動いてはいたが伸びなかった。同じ問題を解くツールが30社あったからだ。その人がある日、まったく別の商品を持ってきた。プロテインバーだった。彼女は内心「無理だろう」と思ったという。プロテインバーなど市場に溢れている。


食べてみて評価が変わった。まずくない。腹も痛くならない。カロリーも低い。既存のプロテインバーが全部持っていた欠点を、その商品だけが解いていた。ソフトウェア会社は数億円で売却され、プロテインバーの方は桁が二つ違う金額になったそうだ。


ここで注意したいのは、彼女が「難しい問題」を技術的な難しさとして語っていないことだ。プロテインバーの製造は、SMSチャットのシステムより技術的に高度ではない。それでも報酬は上だった。何が違うのか。誰も解いていなかったこと、そして解けたときに消える痛みが大きかったこと。 この2つに尽きる。


日本でこれを実感したければ、自分が出している見積書を2枚並べてみるといい。単価の高い方と安い方を比べたとき、技術的に難しいのはどちらだろうか。私の手元にある例では、安い方が難しい。単価が高い案件は、たいてい地味で、手作業が多く、誰もやりたがらない仕事だ。そして客にとっては「なければ止まる」仕事だ。


止まるか止まらないか。この一点だけが値段を決めている。品質でも、技術でも、実績でもない。もちろんそれらは受注の条件にはなる。だが値段の桁を決めるのは、客の会社で何が止まるかだ。あったら便利なものを、どれだけ丁寧に磨いても、便利の値段からは出られない。


自分の商品がどちらなのかを判定する方法を書いておく。紙に一行、こう書いてみてほしい。「これが明日から無くなったら、誰の仕事が誰に降ってくるか」。降ってくる先が担当者本人なら、単価は上がらない。担当者は少し残業して終わりだからだ。降ってくる先が経営者なら、単価は上がる。経営者に降る仕事は、経営者が金を払ってでも避けたい仕事だからだ。書けなかった場合は、その商品はまだ商品になっていない。


一段も飛ばせない、という制約


ここまで読んで「では難しい問題を解けばいいのか」と考えた人に、先回りして釘を刺しておきたい。飛び級はできない。


同じ動画で、彼女ははっきりこう言っている。小さい問題を先に解いていなければ、大きい問題は解けなかった、と。1年目から会社の売り方を教えられたわけではない。個人にダイエットを教えた経験があったから、ジムに客を送る仕事ができた。客を送った経験があったから、経営者に集客を教えられた。順番に積み上がったスキルが、次の段の入場券になっている。


なぜ飛ばせないのか。難しい問題を解くには、簡単な問題を解いたときに手に入る材料が必要だからだ。ここで言う材料とは、知識ではない。「どこで詰まるか」「誰が何を止めるか」「本当は何が面倒なのか」という、現場でしか手に入らない情報のことだ。


コンサルティングの提案が薄っぺらく感じられるとき、たいていこの材料が欠けている。フレームワークは知っている。事例も知っている。だが、その会社の経理担当が月末に何時まで残っているかを知らない。だから提案が「一般的に正しいこと」で終わる。客は一般論に金を払わない。


私が今の仕事を取れているのは、以前に単価の安い、効率の悪い仕事をやっていたからだ。伝票を一枚ずつ入力するような仕事だった。当時は正直やりたくなかった。時給に換算すると笑えない数字だった。だがあの時期に見た光景が、今の判断のほぼ全部の材料になっている。どの作業が本当に止まるのか、担当者が何を隠すのか、経営者がどの数字だけを見ているのか。全部あそこで覚えた。


これが「スケールしないことをやれ」という言葉の中身だと私は理解している。よく誤解されるが、これは根性論ではない。効率が悪いからやるのでもない。そこにしかない情報を取りに行くためにやる。 情報を取り終わったら、効率化していい。順番を逆にした人が一番多く消えていく。まだ何も分かっていないうちに仕組みを作り、その仕組みが間違った前提の上に建っていることに、半年後に気づく。


だから、いま単価の安い仕事をしている人に伝えたいことがある。その仕事の単価が安いこと自体は問題ではない。問題は、その仕事から情報を取っていないことだ。同じ作業を1年やっても、客に何も聞かなければ材料は増えない。作業のあとに一つ質問するだけで、その仕事は投資になる。


発信が伸びないのも、同じ構造をしている


この原則は、事業だけでなく情報発信にもそのまま当てはまる。むしろ発信の方が、露骨に出る。


毎日投稿している。数字が伸びない。頻度を上げろと言われる。上げる。伸びない。今度は型が悪いと言われる。型を学ぶ。伸びない。この流れを何度も見てきた。そして原因は毎回同じところにある。扱っている問いが簡単すぎるのだ。


「副業の始め方」は簡単な問いだ。日本語で書いている人が何万人といる。ここで勝つには、他の誰よりうまく書くか、他の誰よりたくさん書くしかない。どちらも消耗戦で、一日中それをやれる人にしか勝ち目がない。一方で「経理担当が突然辞めた会社が、翌月の決算をどう乗り切るか」は難しい問いだ。書ける人がほとんどいない。読者は激減する。だが読んだ人は金を払う。


多くの人は、読者が減ることを恐れて簡単な問いに留まる。気持ちは分かる。数字は目に見えるし、減ると不安になる。だが簡単な問いの読者は、そもそも金を払わない層でもある。無料で解決する問題だから読んでいるのであって、有料で解決したい問題ではないからだ。ここを取り違えると、フォロワーは増えるのに売上が立たない、という状態で固定される。


伸び悩んでいるなら、投稿の数を増やす前に、扱う問いを一段だけ難しくしてほしい。一段でいい。読者数は落ちる。落ちた先に残った人が、あなたの客になる。


根まで降りるのは、葉を触ってからでいい


2本目の動画は、もっと手前の話をしていた。金の考え方を木にたとえる話だ。根が価値観、幹が生き方、枝が目標と戦略、葉が戦術と商品。そしてほとんどの人は葉から質問を始める、と彼女は言う。どのアプリを使うべきか、何に投資すべきか、という具合に。


指摘は正しい。私が受けてきた相談も、思い返せばほとんどが葉だった。「今なら何が儲かりますか」に至っては、落ち葉を拾っている。


ただ、私はこの主張に一つだけ留保を付けたい。根は、葉を何枚か触ってからでないと降りられない。


自分の価値観が何かなど、若い頃に聞かれても答えられなかった。答えられるようになったのは、いくつか事業をやって、向いていないものを実際にやってみた後だ。嫌だと感じたことを10個集めて、ようやく好きなものの輪郭が出てくる。順序としては、葉を触る、根を探す、根から枝を組み直す、が現実的だと思っている。最初から根に降りようとすると、たいてい降りられずに固まる。自己分析だけで半年使う人を何人も見てきた。


同じ動画にもう一行、良い言葉があった。あなたは何でも買える、ただしすべては買えない。これは金だけの話ではなく、時間も、集中も、注意も同じ構造をしているという指摘だった。


副業がうまくいかない人の相談を受けると、だいたいこれが原因になっている。全部やろうとしている。物販もやりたい、発信もやりたい、投資も勉強したい。金の配分は気にするのに、時間の配分は無限にあると思っている。無限ではない。それどころか、金より先に尽きる。


そして時間が尽きたとき、人は「もっと効率のいい方法があるはずだ」と考える。そこにチートや自動化を売る商品が刺さる。この順序で人が消えていくのを、何度も見た。効率を探し始めた時点で、たいてい方向を間違えている。効率が必要なのは、正しいことをやりすぎて手が回らなくなった人だけだ。まだ客に会っていない人に、効率は要らない。


明日からどうするか


まとめる代わりに、順番だけ書いておく。


まず、今週のうちに客に一人会う。会って、いま何が一番面倒かを聞く。次に、その面倒が「無くなったら誰の仕事が誰に降るか」を紙に書く。経営者に降ると書けたなら、そこがあなたの次の商品になる。担当者に降るとしか書けなかったなら、まだ聞き足りない。もう一人会う。


これを10人繰り返せば、扱うべき問いは自然に決まる。10人に聞いた人の仮説は、100時間考えた人の仮説に必ず勝つ。私はこの例外をまだ見たことがない。


そして、2年かかると思っておいてほしい。1本目の動画の彼女も、最初の会社は2年間まったく利益が出ず、損失を出し続けたと言っていた。そのあと半年で桁が変わった。スターバックスのハワード・シュルツは17年間、会社から報酬を取れなかったそうだ。給料を払うために取引先から金を借りたこともあるという。


2年かかると知っていれば、3か月で辞めなくて済む。多くの人は、3か月で判断できると思っているから辞める。3か月で分かることは、せいぜい「まだ客に会っていない」ことくらいだ。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
二人称で書き、読者の現在地を先に肯定すると最後まで読まれる
「あなたは今、努力している」から始め、全編を通して特定の一人に宛てて書く。読者の無力感を否定せず、それが正常な通過点だと位置づけてから本題に入る。励ましだけで終わらせず、厳しい判定と具体的な行動で閉じる。
文字数3,262章数6段落64一文平均21.4字文長のばらつき9.8最長/最短63/5段落ばらつき30.21文だけの段落19%ですます1だ・である131体言止め0疑問7
半年やって数字が動かないあなたへ。たぶん問題は努力量ではない

あなたは今、努力している。


毎日投稿して、休みの日も勉強して、それでも数字が動かない。周りは伸びているように見える。自分だけ止まっている気がする。


その状態でこれを読んでいるなら、まず一つだけ伝えたい。あなたの努力量は足りている。 足りていないのは別のところにある。今日はそれを書く。


海外の動画を2本見た。ひとつはアメリカで会社を作って売った経営者の話、もうひとつは個人の資産形成を扱う人の話だった。どちらも、あなたが今いる場所の説明になっていた。


あなたが今いる場所には名前がついている


1本目の動画で、こういう話が出てくる。


彼女の最初の会社は、2年間まったく利益が出なかった。出ないどころか、損失を出し続けた。そして2年経ったあたりから、半年で7億円規模になった。


彼女はこの期間を、ダニング・クルーガー効果で説明していた。人は最初、自分の能力を過大評価する。過大評価しないと始められないからだ。始めてみると想像より難しくて、自分が下手だと気づく。ここで大半の人がやめる。


あなたが今いるのは、たぶんこの場所だ。


最初は「いけそうだ」と思っていたはずだ。今は「思っていたより難しい」と感じている。この落差そのものが、正常に進んでいる証拠になっている。落差を感じていない人は、まだ本気で始めていない人だけだ。


だから、まず安心してほしい。あなたが感じている無力感は、失敗の兆候ではない。それは全員が通る場所で、そこにいることが分かっているだけ、あなたは有利な位置にいる。


ただし、ここから先を読んでほしい。安心だけして終わると、何も変わらないからだ。


それでも、続ければ報われるとは書かない


正直に書く。続ければ必ず報われる、とは言えない。それは嘘になる。


方向が間違っていれば、10年やっても同じところにいる。私も一つ、5年かけて畳んだ事業がある。あれは続けたことが間違いだった。もっと早くやめていれば、5年ぶんの時間が別のことに使えた。


だから、あなたに必要なのは「続ける」ことだけではない。続けることと、方向を確かめることの両方だ。片方だけでは足りない。


そして方向の確かめ方は、一つしかないと思っている。


客に聞くことだ。売れたか、売れなかったか。


インプレッションでも、フォロワー数でも、保存数でもない。それらは動いていても売れないことがあるし、動かなくても売れることがある。あなたが半年見てきた数字のうち、本当に方向を教えてくれるものが何個あっただろうか。


あなたの努力が効かない理由


ここからが本題になる。


あなたが半年やって伸びないのは、努力量でも、方向の大枠でもない可能性が高い。扱っている問いが簡単すぎるのだ。


1本目の動画の最後に、こういう原則があった。稼げる額は、解決する問題の難しさに比例する。


これを発信に置き換えると、そのまま当てはまる。


「副業の始め方」は簡単な問いだ。日本語で書いている人が何万人といる。ここで勝つには、他の誰よりうまく書くか、他の誰よりたくさん書くしかない。どちらも消耗戦で、一日中それをやれる人にしか勝ち目がない。


あなたが疲れているのは、この消耗戦に参加しているからだ。努力が足りないのではない。努力が効かない場所で努力している。


では難しい問いとは何か。例を出す。


「経理担当が突然辞めた会社が、翌月の決算をどう乗り切るか」


これは難しい。書ける人がほとんどいない。読者は激減する。だが、読んだ人は金を払う。


あなたはたぶん、読者が減ることを恐れて簡単な問いに留まっている。気持ちは分かる。数字は目に見えるし、減ると不安になる。だが簡単な問いの読者は、そもそも金を払わない層でもある。無料で解決する問題だから読んでいるのであって、有料で解決したい問題ではないからだ。


フォロワーは増えるのに売上が立たない。この状態に心当たりがあるなら、原因はここにある。


「あなたは何でも買えるが、すべては買えない」


2本目の動画から、一行だけ引く。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


金だけの話ではないと彼女は続ける。時間も、集中も、注意も同じ構造をしている。人生そのものが最も有限な資源だ、と。


あなたに聞きたいことがある。


いま、いくつのことを同時にやっているだろうか。


発信もやり、商品も作り、勉強もし、本業もある。もしかしたら物販や投資にも手を出しているかもしれない。金の配分は気にしているのに、時間の配分表は作っていないのではないだろうか。


一度、1週間だけ書き出してみてほしい。30分単位で、何に使ったかをスマホのメモに打つだけでいい。集計もしなくていい。


私も一度やった。事業のことを考えている時間が、想像の3分の1しかなかった。残りは連絡と移動と、判断の先送りに使われていた。あれは効いた。今でも半年に一度やる。


書き出した時点で、たいてい見たくないものが見える。それが分かれば十分だ。


あなたが今、一番避けるべきもの


もう一つだけ、先に潰しておきたいことがある。


半年やって数字が動かないとき、人はほぼ例外なく「もっと効率のいい方法があるはずだ」と考え始める。


そこに、AIで全自動、ワンクリック、寝ている間に、という商品が刺さる。あなたのタイムラインにも流れてきているはずだ。半年前より、今のほうが目に入るようになっていないだろうか。


あれは、あなたが疲れているタイミングを狙って設計されている。


1本目の動画の彼女も、同じ罠にはまっている。稼げない時期、金持ちのように振る舞えば金が来ると書かれた本を真に受けて、スーパーの帰りに買った食料品をホームレスに全部渡した。寄付もした。数週間続けて、何も起きなかった。


そこに当時の恋人が一言、こう言ったという。


金は、それを作るために働く人間を差別しない


信じているかどうかは関係ない。やったかどうかしか関係ない、と彼女はまとめている。


彼女はもう一つ、不労所得でも失敗している。勧められて不動産を買ったら、入居者対応も、管理会社に契約を切られることも、全部自分に降ってきた。1年かけて手放し、200万円ほど損をした。そして「投資も、投資というスキルが要る。何も要らない収入は存在しない」と結論づけている。


見分け方を一つ渡しておく。私が使っているものだ。


その商品は、買った人が実際に作業する前提になっているか。


正当な教材は、必ずあなたに作業を要求する。「客に10人会え」「見積を書き直せ」と。面倒で、地味で、時間がかかる。


危ない商品は作業を要求しない。代わりに「仕組みが働きます」「意識が変われば結果が変わります」と言う。


前者は退屈で、後者は魅力的に見える。だから後者が売れる。売れた分だけ、買った人の時間が消える。


金は取り返せる。半年は取り返せない。あなたが今持っている一番高価なものは、続けてきた半年ぶんの時間だ。それをここで手放さないでほしい。


今週、これだけやってほしい


長く書いたので、やることは1つに絞る。


今週、客に一人会ってください。


会って、いま何が一番面倒かを聞く。それだけでいい。売り込まなくていい。商品がなくてもいい。


会ったら、その面倒について紙に一行書く。「これが無くなったら、誰の仕事が誰に降ってくるか」。


降る先が担当者本人なら、まだ聞き足りない。もう一人会う。降る先が経営者なら、そこがあなたの次の商品になる。


10人繰り返せば、扱うべき問いは自然に決まる。10人に聞いた人の仮説は、100時間考えた人の仮説に必ず勝つ。 私はこの例外をまだ見たことがない。


最後に、希望の話を書いて終わる。


近道がない、というのは悪い知らせに聞こえると思う。だが同時に、これは最高の知らせでもある。


近道があるなら、金と情報を持っている人間が全部先に通っている。あなたの番は回ってこない。近道がないということは、時間をかけた人が確実に前に行くということだ。


そしてもう一つ。この構造を知っている人は少ない。多くの人が近道を探しているうちに脱落していく。当たり前を2年続けるだけで、気づくと周りに誰もいなくなっている。


私が知っている「うまくいった人」に、例外的に賢い人はいない。全員、当たり前のことを、他の人が飽きた後も続けていただけだ。


あなたは半年続けている。それは、すでに大半の人ができなかったことだ。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc


検証したい仮説
実例を最初から最後まで追う方が、原則を並べるより伝わる
金曜19時の電話から3か月後までを週数で追う。原則は物語の中に挟む形でしか出さない。数字は例示で、著者自身の事業の数字ではない。他のパターンが「主張→例」なのに対し、これは「例→主張」の順になる。
文字数3,134章数6段落60一文平均21.3字文長のばらつき10.6最長/最短62/3段落ばらつき27.91文だけの段落17%ですます0だ・である127体言止め15疑問0
月商900万で資金が尽きかけた会社が、3か月で立て直すまでにやったこと

金曜の19時に電話が鳴った。


知り合いの経営者からだった。開口一番、来月の支払いが200万足りないと言う。


彼の会社は月商900万円ある。利益も出ている。それでも金が足りない。事業が伸びている最中に潰れる会社は、だいたいこれで潰れる。赤字ではなく、黒字で潰れる。


結論から書くと、この会社は3か月で立て直した。売上は落ちた。手残りは増えた。やったことは3つだけで、新しい手法は1つも使っていない。順番に書く。


海外の動画を2本見て、この一件の構造がきれいに説明されていたので、そこも挟みながら進める。


1週目 何が起きていたか


まず何が起きていたのかを確認した。


原因は単純だった。売掛の入金が翌々月末で、仕入れの支払いが翌月末。売れば売るほど、手元の金が先に出ていく構造になっていた。


彼はこれを「資金繰りが悪い」と表現していた。違う。資金繰りは悪くない。売れているのに手元が薄いのは、伸びている会社の正常な状態だ。 問題は、その状態を前提にした設計になっていなかったことだった。


このとき、口座は1つしかなかった。事業の入出金も、生活費も、税金の準備も、全部同じ口座に入っていた。だから「いくらまでなら使えるか」が誰にも分からない。分からないから、動くべき時に動けない。


1本目の動画で、アメリカの経営者が貯金についてこう言っていた。


貯金では金持ちにはなれない。だが、リスクを取る余裕をくれる


彼女は事業で金が入ったとき、順番を決めていた。借金を全額返す。生活と支払いを維持できる額を別の場所に置く。それから先に入る金を全部、次の事業に入れる。3番目ができたのは、2番目が終わっていたからだと言っている。


金額の話ではなく、置き場所の話だ。


2週目 口座を分けた


最初に頼んだのは、経理でも節税でもない。口座を2つに分けることだった。


  • A口座:事業の入出金。減っても増えても気にしない
  • B口座:6か月分の固定費。ここには絶対に手を付けない


6か月という数字には根拠がある。日本の中小企業が新しい取引先から初回入金を受けるまでに、それくらいかかるからだ。


内訳はこうなる。商談から見積提出まで2〜4週間。見積から稟議・決裁まで3〜8週間。発注から納品まで4週間以上。検収から支払いサイトの締めまで最大1か月。締めてから入金まで30〜60日。


足すと、早くて4か月、遅いと7か月。


つまり今日から営業を始めても、最初の入金が着くのは半年後になりうる。この期間を持ちこたえられる金がないと、営業活動そのものができない。金がないから売れない、売れないから金がない、の輪に入る。


分けた翌週、彼は初めて「あと2件までなら先行投資できる」と自分で言えるようになった。金額は1円も増えていない。置き場所を変えただけだ。


5週目 案件を並べて、単価が上がらない理由を書いた


次にやったのは、抱えている案件を全部紙に並べることだった。


そして各案件の横に、一行ずつ書いてもらった。


「これが明日から無くなったら、誰の仕事が誰に降ってくるか」


書けない案件がいくつも出た。書けた案件も、降る先が「担当者本人」ばかりだった。


ここで差が出る。手元にあった2つの案件を並べる。


案件A:業務システムの保守 月額3万円。作業は月2〜4時間。3年目。案件B:経理担当が辞めた会社の月次締めを止めずに回す 月額38万円。作業は月20時間程度。1年目。


技術的にはAの方が難しい。Bはほぼ手作業だ。それでも単価は12倍以上ある。


差は1点だけだった。Aは「あったら助かる」、Bは「なければ会社が止まる」。


Aを解約しても客は困らない。少し不便になるだけだ。Bを解約したら、翌月の決算が出せない。銀行に出す資料が出ない。融資が止まる。


客が金を払っているのは、技術ではなく痛みの大きさに対してだ。


1本目の動画の最後に、まさにこの原則があった。稼げる額は、解決する問題の難しさに比例する。彼女自身、個人指導からジムへの集客、経営者への指導、売却できる会社の作り方へと一段ずつ上がるたびに桁が変わったと言っている。


ただし彼女は同時に、一段も飛ばせなかったとも言っている。小さい問題を解いた経験がないと、大きい問題は解けない。理由は明快で、難しい問題を解くには、簡単な問題を解いたときにしか手に入らない材料が要るからだ。


彼がBを取れたのも同じ理由だった。以前、伝票を一枚ずつ入力する仕事をやっていた。単価は安かった。だがそこで、どこで詰まるか、誰が何を止めるかを体で覚えていた。


9週目 2件解約した


3つ目にやったのは、捨てることだった。


案件Aのような保守契約を2件、こちらから解約を申し出た。売上は月6万円落ちた。


空いた時間で、案件Bのような仕事を1件取った。差し引きで月32万円増えた。


彼は最初、解約に強く抵抗した。「せっかく取った客なのに」と言った。気持ちは分かる。私も同じことを何度も言われてきた。


ここで引いたのが、2本目の動画にあったこの一行だった。


あなたは何でも買える。ただし、すべては買えない


金だけの話ではなく、時間も集中も同じだと彼女は言っていた。人生そのものが最も有限な資源だ、と。


金の配分表は作るのに、時間の配分表を作る人はほとんどいない。作ってみると、たいてい破綻している。彼の場合、単価3万円の案件が、単価38万円の案件と同じ「気にする枠」を占めていた。金額は12分の1なのに、頭の中では同じ大きさを取っていた。


捨てなければ、次は取れない。


7週目 単価を上げようとして失敗した話


順調に進んだように書いてきたが、途中で一度、明確に失敗している。


案件Bのような仕事をもう1件取ろうとして、彼はまず既存の案件Aの単価を上げにいった。やり方は「納品物を厚くする」だった。月次レポートを3ページから12ページにした。グラフも足した。


結果、月3万円が月3万5千円になった。作業時間は6時間増えた。時給は下がった。


これは私も昔やって、同じところで失敗している。品質を上げれば単価が上がる、というのは直感的に正しく聞こえるが、外れている。


効くのは品質ではなく、客の中で「誰の仕事が消えるか」を変えることだ。


  • 案件A:担当者の作業が少し楽になる。予算は担当者の裁量枠から出る(数万円)
  • 案件B:社員一人分の穴が埋まる。予算は人件費の枠から出る(数十万円)


金の出どころが違う。出どころが変われば桁が変わる。レポートのページ数は、出どころを変えない。


このとき彼が言った一言を覚えている。「じゃあ、丁寧にやっても意味がないってことですか」


意味はある。ただし、それは受注を維持する条件であって、単価を上げる要因ではない。丁寧さは守りの投資で、攻めには効かない。ここを混同すると、一生「もっと頑張れば単価が上がるはず」と思いながら時給が下がり続ける。


12ページのレポートは、翌月から4ページに戻した。客からは何も言われなかった。


3か月後


売上は月6万円落ちて、手残りは月32万円増えた。B口座には6か月分が積み上がった。


そして一番効いたのは、数字ではなかった。彼が新しい商談で、技術の説明をやめたことだ。


代わりに、こう聞くようになった。「これが止まったら、御社では何が止まりますか」


相手が答えられる会社とだけ話を進める。答えられない会社は、そもそも痛みがない。痛みがないところに高い金は出ない。


やったことをまとめると3つになる。口座を分ける。案件ごとに「誰の仕事が誰に降るか」を書く。降る先が担当者どまりの案件を捨てる。


新しい手法は1つも使っていない。AIも自動化も入れていない。全部、紙とネットバンキングで終わる話だ。


今週やることを1つ選ぶなら、口座を2つに分けることを勧める。銀行に行く必要もない。15分あれば終わる。それが終わったら、抱えている案件を紙に並べて、横に一行ずつ書いてほしい。


書けない案件が、いま単価が上がらない案件だ。


参考にした動画


  • Principles for Making Money(Leila Hormozi)https://youtu.be/LuJxo_I1iNc
  • The most powerful way to think about money(Paula Pant / Big Think)https://youtu.be/ugIuHWc6Nuc